建設産業女性活躍セミナー in 仙台

建設産業女性活躍セミナー in 仙台建設産業女性活躍セミナー in 仙台

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開催日時
平成29年10月16日(月)
14:00〜14:30 基調講演①
14:30〜14:45 基調講演②
14:45〜16:00 パネルディスカッション
16:00〜17:00 名刺交換・交流会
開催場所
宮城県建設産業会館 7F会議室
基調講演①
「建設業を女性の一生の仕事に~男女共創の幕開き」
有限会社ゼムケンサービス 代表取締役 籠田淳子氏
基調講演②
「最近の建設産業政策について」
国土交通省 土地・建設産業局建設市場整備課 建設市場整備推進官
西畑知明氏

パネルディスカッション

テーマ
「建設産業において、さらなる女性の入職及び定着を促進するためには」
概 要
○コーディネーター

籠田 淳子氏
有限会社ゼムケンサービス 代表取締役

○パネリスト

秋山 悦子氏
ワーカー代表
(一社)建築設備技術者協会 東北支部 設備女子会代表
川畑 貴子氏
クレア工業株式会社 左官工
(一社)日本左官業組合連合会
工藤 春美氏
丸か建設株式会社 現場代理人
(一社)宮城県建設業協会
瀬尾 弘美氏
株式会社建設技術研究所 ダイバーシティ推進室長
(一社)土木技術者女性の会
瀧口 直美氏
株式会社牧山 常務取締役
(一社)日本造園組合連合会
武山 利子氏
株式会社武山興業 専務執行役員
(一社)宮城県建設業協会
西畑 知明氏
国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課 建設市場整備推進官
曾我 靖 氏
国土交通省 東北地方整備局 建政部建設産業課 課長

 

パネルディスカッション

建設産業において、さらなる
女性の入職及び定着を促進するためには

 

籠田:
本日は現場の第一線でずっと歩んでこられている方々と一緒にお話しすることで、もっと働きやすい環境の整備に役立てたいと考えています。加えて、これまでの建設業界の常識に対して「女性の力」で風穴を開けていきたいと思っております。パネルディスカッション終了後には交流会も予定しておりますので、お互いに交流を深めていきたいと思います。
それではご当地を代表する女性の皆さまに、自己紹介をかねて、具体的にどのようなお仕事をされているのか、業界にどのような問題・課題を感じられているのかをお話しいただきたいと思います。それではお願いします。

籠田 淳子氏 (有)ゼムケンサービス 代表取締役

籠田 淳子氏
(有)ゼムケンサービス 代表取締役

◆女性が活躍するうえで課題として感じていること〜自己紹介を兼ねて

 

秋山:
私は自分のワークライフバランスの変化により、働き方をいろいろと変えてきました。デパート勤務に始まり、CADのインストラクター、その後の設計事務所勤務を経て、2011年に独立しました。現在は、建築設備施工図を現場で描いています。また、設備女子会の代表も務めさせていただいております。
この業界に長くいて感じる問題点は、「女性だから、男性だから」という無意識の偏見によって、能力が同等にも関わらず上司から与えられる仕事や役割が違ってしまうということです。その結果、技術に差がついていく点がすごく問題だなと思っています。

秋山 悦子氏 (一社)建築設備技術者協会 設備女子会

秋山 悦子氏
ワーカー代表
(一社)建築設備技術者協会 設備女子会

籠田:
例えば、施工図を作成するような分野は、これからさらに女性が伸びていきますよね。職人さんによっては「あなたの作った施工図は仕事がしやすい」「この墨だしもあなたに教えてもらいたい」と、現場監督を飛び越えて、施工女子に聞きに行くケースもあると聞いています。ぜひ頑張ってもらいたいと思います。
川畑:
私は平成22年3月に宮城県内の工業高校建築科を卒業して、4月からクレア工業に左官工として入社しました。普段は学校や病院などにおける左官工事全般で職長として働いています。平成28年9月に1級左官技能士を取得しました。携わってきた主な現場は、地下鉄東西線の車両基地や、数年前に防災会議が行われた国際センターの展示棟などです。
建設業における問題は、まだまだ女性が下に見られるというか、ばかにされる傾向があることです。あまりこういうことは言いたくないのですが、セクハラまがいのボディタッチなどもまだまだあります。男性より体力は劣るかもしれませんが、技術力など変わらないところもあると思うので、「女性だから…」といった偏見をなくしていきたいと思っています。

川畑 貴子氏 クレア工業株式会社 左官工 (一社)日本左官業組合連合会

川畑 貴子氏
クレア工業株式会社 左官工
(一社)日本左官業組合連合会

籠田:
私は26、7歳の時に、木工事の職長として大手ゼネコンの下で勤めていました。女性職長が、今では多くなってきていると聞くと、うれしいですね。私はこれまで現場で女性職長とお会いしたことがありません。ずっと女性ひとりでしたので、職長会議の時も非常に意見が通りにくく、ゴンドラ作業も搬入経路も、なかなか予約が確定できませんでした。そこで、喫煙室とか焼き鳥屋などいろいろなところで根回ししながら、本当に苦労してやってきました。頑張ってください。
工藤:
私は、県内の工業高校建築科を卒業し、丸か建設株式会社の建築部で施工管理業務に従事しています。
現在、石巻市北上町の十三浜で、環境庁発注の月浜園地ビジターセンター新築工事の現場代理人を務めています。工事経歴については、東北大学総合研究棟農学系新営工事、色麻町の小中一貫校設立のための中学校校舎の改修工事、大崎市の古川西部地区介護老人福祉施設の新築工事などに従事してきました。どの現場も大変で、いいことも悪いこともありましたが、全て忘れられない現場となっています。
私には現場で心掛けていることがあります。
1つ目は「仕事と女性はきれいなほうがいい」ということです。「現場は常に見られている」という意識を持ち、トイレ、ゴミカゴの周りはいつもきれいにし、そして、いい仕事をしようという考え方を大事にしています。
2つ目は、「赤ちゃんでも歩ける足場にしよう」ということです。昔、労基の女性の署長に言われた言葉で、足場を設置するときは、いつもこの言葉を思い出します。「赤ちゃんが歩く」のは非現実的ですが、自分が歩いて怖くない足場、作業がしやすい足場を目指して、日々指導・実践しています。
3つ目は、「現場はみんなでつくるもの」ということです。建物は1人の力では造れません。職人さんはオーケストラの奏者、私は指揮者です。1人だけ頑張ってもよいハーモニーは奏でられません。みんなで協力し、よいところを引き出し合って、バランスのよい建物を造りましょうということです。
4つ目は、「所長は現場の太陽であれ」ということです。職人さんはいつも私を見ています。機嫌が悪かったり、顔色がよくなかったりすると朝礼で察知されます。リーダーが不安な顔をしていると、働くみんなが不安な気持ちになります。リーダーは現場の見本です。たとえ悩んでいても笑顔でいれば、みんなが気持ちよく働いてくれると信じています。
そのほかに、「現場監督」に必要なものは、「気配り」「目配り」「心配り」、そして「愛」だと思います。一緒に働く、みんなが幸せになれる現場を目指しています。
私が20数年の経験を踏まえて、「現場に女性を取り込むために必要」と感じていることは、生活のリズムを崩さない労働時間の導入(フレックスタイムなどの対応)と休日の確保です。また、子どもの急な体調不良への対応や、休みの取得及び周囲の理解も必要だと思います。

工藤 春美氏 丸か建設株式会社 現場代理人 (一社)宮城県建設業協会

工藤 春美氏
丸か建設株式会社 現場代理人
(一社)宮城県建設業協会

籠田:
女性の現場代理人に必要なのは、やっぱり「愛」ですね。男性からはなかなかそういう言葉は出てきません。「赤ちゃん」のことも。あと、なんといっても究極だったのは、「女性と現場は美しい、きれいがいい」ということですね。本当にそのとおりだと思います。
瀬尾:
私は文学部地理学科の出身で、卒論を水文学で書いたことから、1990年に株式会社建設技術研究所に入社しました。建設コンサルタントとして公共事業の調査、計画、設計をする会社であり、私の専門が河川環境計画であるため、最初は河川計画に関わる仕事をしていました。その後、環境系の仕事なども経験しましたが、主に社会基盤整備の調査、計画、設計を担当しておりました。技術士資格も、建設部門、建設環境、河川砂防、総合技術管理などを持っています。
今は、技術系の現場中心の部署から卒業し、広報室を経て、管理系の部署で会社のダイバーシティ推進を担当しております。その他の活動として、土木学会に所属しており、土木学会の中のダイバーシティ推進委員会の幹事をしています。
業界の女性技術者の現状について問題提起させていただきたいことは、「技術者に占める女性の割合」が少ないことです。女性の割合が一番多いのは、17パーセントの自然科学系の研究者ですが、一番多いといっても半数にも届きません。土木測量の技術者にいたっては、2.4パーセントというのが実態です。土木学会の会員数を見ますと、個人会員約3万8000人のうち、女性会員は1700人で、4.8パーセントとなっています。正会員となるとさらに少なく、今のところ4パーセントです。学生だと15パーセントぐらいはいるのですが、卒業後、入職して正会員になる人は少ないというのが、今の土木学会の現状です。
現在、弊社には、1100人ぐらい技術者がいるのですが、女性は全体の約1割の115人です。男女雇用機会均等法が昭和41年に施行されてから、女性の総合職を入れ始め、昭和63年に1人を採用した以降、継続的に女性の新卒者が入職しています。私は平成2年の入社で、女性2人が入ったのですが、すでに1人辞めており、私1人が残っているという状態です。若い世代のうち、特に最近入社した女性はまだほとんど辞めていませんが、年を取るにつれてどんどん辞めていってしまい、30代、40代になると、各年齢に1人いるかいないかという状態です。女性が働き続けられないというのが、弊社を含めた土木業界の現実かなと思います。
そこでダイバーシティ推進ということになるのですが、女性をはじめ、さまざまな方を多用していこうとしています。弊社のダイバーシティ推進の定義は、「性別・国籍・人種・年齢・宗教は言うまでもなく、個人の価値観や生き方も含めた多様な人材に対して魅力のある会社をつくり、多様な人材がそれぞれの思考や能力に応じて最大限力を発揮する組織とする」ということです。いろいろなダイバーシティ推進、ワークライフバランスなどの目標を設定して取り組んでいます。女性を対象にした研修会等もやっています。
土木技術者女性の会は、各会社の中にポツンといるだけでは、女性がなかなか力を発揮できないのでネットワークを組みましょうということを目的とする会です。昭和58年1月に発足しており、長い歴史があります。そして土木技術者女性の会でも、女性の土木技術者をどんどん増やしていきたいと思っています。そこで、これから女性の土木技術者になろうという方が安心して入職できるように「Civil Engineerへの扉」という冊子を作って、活躍している人を紹介したり、いろいろな仕事を紹介したりしています。

瀬尾 弘美氏 (株)建設技術研究所 ダイバーシティ推進室長 (一社)土木技術者女性の会

瀬尾 弘美氏
(株)建設技術研究所 ダイバーシティ推進室長
(一社)土木技術者女性の会

籠田:
素晴らしいですね。土木の女性のネットワークは、すごく先進的なことだと思います。
瀧口:
造園業といいますと、大きな枠で言えば土木業であり、最近皆さんが目や耳にされている、ガーデンプランナーやガーデンデザイナーのように、女性が華々しく活躍している業界にも見受けられるかもしれません。私が入った経緯は、もともと実家が造園業を営んでいたからです。造園業といっても、ゴルフ場の管理、メンテナンスをしている会社でした。父は毎日泥だらけになって帰ってきて、夜は休みの日も含めてほとんど家にいませんでした。子ども3人の育児に追われる母を見て、「いやな仕事だな。結婚するなら、絶対に同じ業種の人はやめよう」というくらい、造園業に対して、実はマイナスのイメージを持っていました。
ただやはり、家族はチームなんだということで、私もこの仕事に身を置くことになりました。そうはいっても、正直申し上げまして、女性の一番大きな人生の岐路である「結婚と出産、子育て」を経験していく中で、仕事と家庭の両立に大変悩みました。苦しみながら仕事を続けていく中で、やはり家庭がおかしくなってくると、仕事にもすごく悪影響が出てきましたので、平成20年度に一度退職しております。そして、5年間のブランクの後、戻ってきました。
退職したといっても、実家が造園業をやっているので、職人さんや父、それに関わる業界団体の皆さんの動きは常に目に入ってきていました。日々見ていますと、この業界はすごく魅力がある、実はとても大好きな仕事だったと、離れて深く感じたので戻ることにしました。
戻ってはきましたが、子育てと仕事のバランスを取るという部分では、いまだに発展途上です。大きな会社ではなかなか難しいかもしれませんが、弊社は社員6名の小さな会社ですので、自分自身で「女性が働きやすい仕組み」をつくっていこうと思っています。その立場も兼ねて、ワークシェアリングではないですけれども、画一的な朝礼時間を廃止したり、子どもの学校の行事などがあれば、事前に綿密なスケジュールの打ち合わせをして対応したりしています。社員には女性だけでなく、子育てを一生懸命やっている男性もおります。そのような男性のサポートも兼ねるつもりで、「今日はこの仕事を終えたら、子どものお迎えがあるのでそのまま直帰しますね」など、細やかな連絡のやり取りで、今は仕事をやっています。

瀧口 直美氏 (株)牧山 常務取締役 (一社)日本造園組合連合会

瀧口 直美氏
(株)牧山 常務取締役
(一社)日本造園組合連合会

籠田:
5年間のブランクが、今、価値になっていますね。これからの未来も創り出せそうですね。
武山:
私は、平成6年設立の女性技術者の会『リンクス』設立メンバーであり、平成15年には『建設業女性経営者の会』の初代会長に就任し、会長として3期やらせていただきました。今は『宮城建設女性の会2015』の初代会長をさせていただいています。
以前は東京にいましたが、結婚を機に宮城県に参りました。それからずっと仕事と子育てで、いろいろと悩みつつも、オールラウンドにやってきたおかげで、平成3年3月に2級土木を取ることができました。これまで、現場をはったり、女性のパトロール隊を結成して、お褒めいただいたり、いろいろしてまいりました。社業では、国交省さんのお仕事をさせていただいたりしております。
私の会社の社員数は44人で、そのうち女性は10人です。技術系の女性は、今のところおりません。ただし、魔のアラ探し隊というパトロール隊を結成しており、役所の検査よりも私どものパトロールを男性は嫌がっております。そのぐらいちょっとしたことでも、女性は気が付くということだと思います。先ほども「気配り」「心配り」「目配り」というのがございましたが、私たちは本当にやり過ぎるので、現場の皆さんからは総スカンを食っております。
私が常々声を大にして言っておりますのは、建設業のPRをもっとしたいということであり、本日のような会での発言はなかなか一般の方には伝わっていません。「宮城県の人は奥ゆかしい」ということではないのです。国としても、もう少しPRの仕方を考えていただきたいとお願いします。

武山 利子氏 (株)武山興業 専務執行役員 (一社)宮城県建設業協会

武山 利子氏
(株)武山興業 専務執行役員
(一社)宮城県建設業協会

籠田:
東北地方整備局の曾我課長、一言お願いできますでしょうか。
曾我:
私ども建設産業課は、主に建設業の許可、特に大臣許可の業務を担当しております。その他、宅地建物取引業の国土交通大臣の許可や、マンション管理業、賃貸住宅管理業の登録関係、あるいは測量業、建設コンサルタント、地質調査業といった登録関係の業務を担当しています。
現在取り組んでいる工事の発注方法について2点ほど申し上げたいと思います。東北地方整備局では、今年度から段階的選抜方式を採用しております。この方式は、対象工事としてはトンネル工事のようなやや大規模な工事を対象にしている入札方式です。具体的には、応募してきた企業の1次審査のときに、企業の能力等において加点評価する方式です。加点の対象は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、あるいは次世代育成支援対策推進法、そして青少年の雇用の促進等に関する法律に基づいて、それぞれ認定を受けている業者の方です。
もう1点は、女性技術者・若手技術者配置促進工事というもので、平成26年度から27年度にかけて、橋梁の上部工事で3件ほどを発注しております。このモデル工事では、入札に参加しやすいように、女性技術者の方の配置の条件を、主任技術者、あるいは管理技術者だけではなくて、担当技術者まで拡大しています。そして、担当技術者に女性技術者を配置する場合は、担当する分野にかかる期間の半分でよいことにしています。また、産休・育休後の女性技術者の方が活躍しやすい環境となるように、工事の施工経験あるいは表彰等の評価対象期間に、育休・産休期間に相当する期間を加えることができるということにしております。
さらには、女性技術者の方が働きやすい環境を整備するということで、施設や設備、更衣室やトイレなどについて別途協議できるという条件を付しています。この結果、1件の工事では、女性の方が現場代理人として、また、2つの工事では、担当技術者として女性技術者の方が担当されています。
今年度も引き続き、試行していくと聞いており、東北地方整備局ではこれらの工事の発注により、女性技術者の方の登用の促進を図っているところです。
◆女性が活躍できる業界であることをアピールするためには
籠田:
私は、この業界に女性の数を増やしたいと心から願っています。今、いろいろな問題が、皆さんのお話から少しずつ浮かび上がってきました。実際に現場でさまざまな場面を見ている皆さんから、この業界に女性を呼ぶための、何かいいアイデア、意見がありましたらぜひお聞きしたいと思います。
瀬尾:
女性の技術者を増やすためには、まず、大学で土木を専攻する学生を増やさなければいけません。そのために、土木学会では小学校、中学校の子どもたちに、「土木とは何?」「土木は、私たちの暮らしにこんなに身近なものなんだよ」ということを教える取り組みを地道に行っています。また、年に1回、ショッピングモールにイベントブースを借りて、「橋の構造はこんなだよ」「どのトンネルが強い形でしょうか?」と実験を交えながら、子どもたち向けのイベントを行っています。去年は秋田の大曲で行い、今年はこの週末に、福岡で開催します。
年に1回のとても地道な取り組みではあるのですが、そこに来てくれた子どもたちは、「土木ってこんななんだ!」と、みんな目をキラキラさせながら参加してくれるので、そういう子どもたちが将来、土木の道に進んでくれるといいなと思っています。一般市民の方に、土木とは身近なもので、すごくやりがいがある仕事なんだということを感じていただき、分かっていただくことが必要かなと思います。
籠田:
今、土木は女性の比率が3.4パーセントで、技術者が減ってきているんです。しかしながら、日常の私たちの暮らしの中には、土木があるんだと知っていただく努力をされているということでした。しかも、建設会館のようなところには、一般の方はなかなか来られません。そこで、ショッピングモールで行うという、すごくいいアイデアですよね。素晴らしいと思います。
武山:
私は、学校に対しても女性に対してもPRが全く不足しているのが現状だと思います。まずは女子ウケするようなPRの作り方をしたほうがいいと思います。先日も、コマツIoTセンターへ行ったのですが、この訪問は収穫がありました。女性の会で行ったのですが、ICT活用の勉強会で女性たちが「おお!」と感動していたのです。ICT活用に関しては、女性のほうが向いていると感じます。ですから、一般の女性も引っ張って連れて行って、「建設の現場に行ける」「就職できる」ということを、もっと知らせてあげたいです。そのこともあって、先ほどから、PR不足を申し上げたのです。昔、ダム建設やトンネル工事を描いた『黒部の太陽』という映画がありました。今、女性に人気の小栗旬や、菅田将暉が、建設業はすごいぞ!ということを描いたドラマや映画に出れば、PRになるのではないでしょうか。女性も食いつくのではないでしょうか。
籠田:
本当におっしゃるとおりだと思います。今、IT、IoT、ICT、ロボットスーツにしても、男女関係ありません。新しい機械や新しいことに関しても、男性も女性も面白いと思って入っていけています。ひょっとしたら女性のほうが向いていることもあるかもしれません。そういう可能性がわれわれの産業の中にたくさんあるということを、もっと分かるように伝えていくことが、入職促進にいいのではないかというお話でした。会場の方は、いかがですか?
◆男性に理解を得る努力や働きかけも必要
一般
参加者
(女性):
私も先ほどの基調講演のように、周りに男性しかいない時期からずっとこの業界で働き続けて50年ぐらいになります。今の業務は設計が主ですが、現場員がいないときは、現場に出て指導もしていて、オブザーバー的な役割も果たしています。長年ずっと業界を見てきて感じたことは、環境整備に関しての変化があまり見られないということです。経営者の意識改善、経営陣と男性陣の意識を変えない限り、入職したい女性が増えても、女性にとっては厳しい業界のままなのではないでしょうか。それにはもちろん女性である私たちの意識も高めないといけません。男性と同じように発言できるような知識と技術を持ってはじめて対等になれるからです。スキルアップしながら、男性に理解を得る努力、働きかけをしていかなくてはならないと感じています。
籠田:
そうですね。頑張りたい、頑張っている女性が今までもたくさんいたと思いますし、これからも出てくる可能性は大いにあります。トップである社長、男性たちには、「女性に頑張ってほしい」と思っていることを、もっと積極的に言葉にして発信していただきたいですね。心の中で思っているだけでなく、言葉にしてもらうことがすごく大事かなと思います。そのような経営者、トップの意識改革と行動の変革もひとつあるかなというお話でした。今、入職しても、定着が難しいんですよね。定着についても、ぜひお話をお聞きしたいと思います。働き続けられるシステムについて、お話しいただけますか?
◆仕事と家庭、出産・育児を両立させるためには
瀧口:
造園業と申しましても、基盤整備という業種の方が多いです。本当に土いじり、その下の見えないところから始まって、植栽工事という緑のものが見える形へと移り、最後には美しい景観づくりをします。景色づくり、いわゆる大規模な芸術作品をつくっていく業種だと思っています。そういったことに憧れて、女性が入ってきているのかもしれませんが、仙台市ではまだまだ、現場の第一線で働いている女性をお見かけすることはほとんどありません。
この地域だからということもあるのでしょうが、「女性の働き方として、こういう仕事もあるんだよ」というPR不足もあるのかなと思います。私も土木に関しては、現場から始めたのではなく、積算から現場に入っていきました。積算をするにあたって、現場を知っていないと段取りも分からないので、現場に行ったのです。そういう自助努力は絶対必要だと思います。同じ若い世代の女性にもそのように話しています。
入職する方は大好きで選んだ仕事だと思いますし、業界の皆さん、本当に女性に対してものすごく温かくて優しいと思います。男性もものすごく、腫れ物に触るような感じで、宝もののように扱ってくれます。ただ、より細やかな対応を一生懸命しようとしてくれるのですが、やっぱり男性目線なんですよね。
それで、定着していくにあたって、女性が一番悩むのはやっぱり、家庭との両立です。その部分についてのサポートや理解があればいいのですが、どこの会社に行っても担当者は男性です。現場に女性がいないということになると、そこで働く私たちは繋がりを求めたくなります。
そういう意味で、造園連がその取り組みの中で、女性技能者が技術力を高め合うということで始まった会があります。業界の中では数少ない女性たちかもしれないけれど、今はSNSという場所と時間を越えて繋がれる場所があります。それを利用して「孤独な一匹狼的な存在だよね」と思う女性たちが繋がる試みをしています。具体的には「現場でこういった苦悩があったよ」「こういうときにはどういうふうに解決しているの?」など、いろいろな意見を発信しています。「こういった現場をやったんだけどどう?」と作品を見せたり、「今度こんな展示会があるよ。来られる方は来ない?」といった情報も飛んでいます。時間を飛び越えて、場所を飛び越えて、自分の家事の合間にポンと送信したり、仕事が終わって家に着いてビールを飲みながら、ポンポンと繋がっています。そのような場所があるということが、すごく支えになっています。こういったSNS活用も定着していく一助になるのではないかなと思っています。
籠田:
そうですね。女性は、誰かのためにやっていくということが、すごく動機付けされます。SNSを活用していくというのは、これからすごく大事なことですよね。
工藤さんは長く現場代理人を務められていますが、ご自身も妊娠、出産を経験されています。実家ということもあって、私もおなかが大きくなった8カ月ぐらいまで、安全帯も付けられないパンパンの状態で現場に行っていました。女性はどうしてもライフイベントに影響されます。そのときにどのようなことを考えられていたのですか。
工藤:
私には子どもが2人いますが、建設業界に入ってくる女性は、この仕事をやりたくて入ってくると思います。高校や大学を卒業して、5年くらいすると、仕事も分かってきますし、面白くなってくる時期なのですが、それと同時に結婚や出産の時期にも重なります。
宮城県建設業協会の『リンクス』に、私も入社してすぐ入ったのですが、そのときは、たくさんの若い女性がいました。でも月日がたつにつれて、結婚などで離職されていったというのを風のうわさで聞きました。女性が、一番に直面するのは、「出産」だと思います。結婚しても働くこと自体に問題はありません。しかし、出産となると産前産後、最低でも半年は休業せざるをえません。その間に自分だけ置いていかれるんじゃないかと不安になりました。私は、まわりに負けたくないという気持ちから、産後3カ月だけ休み、すぐに職場に復帰しましたが、安心して出産できるような職場環境を整えることが必要だと思います。妊娠しているから仕事ができないというのではなく、書類もすごく多い世の中なので、妊娠して現場で作業ができなくなったら、作業手順書を作る、施工要領書を作る、材料の拾い出しをするなど、そういったところに配置換えしてもらえば、仕事は続けられると思います。現場が分からないと作れない書類もたくさんありますので。そのように、配置換えなどで、出産、妊娠時期も安心して働けるような配慮をしていただけたら、もっと働きやすくなると思います。
籠田:
本当にそうなんです。書類も図面もすごく多いですしね。そういうところは、現場に行っているという経験が絶対生かされるというところでございます。本日のパネラーの皆さんのお話は、本当に貴重な、これからの業界にとって解決の糸口になるような内容だと私は思いました。
最近は、工業高校や大学の建築科、土木科で学びたいという女性が増えています。学科によっては、半分は女子生徒ということも普通になってきました。そのことは、私はものすごく大歓迎でうれしいのですが、今、皆さんがおっしゃったように、女性が本当にずっと続けていけるという魅力を私たちが創り出していかないといけない。今、この業界にいる私たちには、未来の子どもたちのためにも責任があると考えます。建設業は未来を形づくっていく、というところでいくと、これからの業界の仕組み自体も形づくっていかないといけないんじゃないかな、ということをあらためて感じました。
若い女性、若い男性、そして受け入れ側の私たち企業が連携して新しい体制をつくっていく時代になってきたんじゃないかなと思っております。建設業で働く女性の入職とか、定着の促進は、今ここに登壇してくださった、推薦してくださった業界のさまざまな団体の方も、本当にいろんなことを考えていらっしゃると思いますので、それぞれの企業に持ち帰っていただいて、一つでも戦略的に実行していただくようにお願いしたいなということをあらためて思いました。
それでは最後に、これから建設業で働こうと考えている女性また現在働いている女性、若い人にお一人ずつメッセージをお願いしたいと思います。
◆建設業で働く女性、将来を担う女性へのメッセージ
〜キャリアアップに有利となる資格取得〜
秋山:
私自身、普通高校を卒業して、特に建設業に全く興味もなく学生生活を過ごして普通の企業に就職したんですけど、その後妊娠、結婚、あと離婚も経験しまして、一人で子育てをしていく中で、やっぱり自分がきちんと技術を身につければ、お父さんのいる家庭と同じ生活をさせてあげられるというふうに思って、シングルで娘を育ててきました。やっぱり日々頑張ってきた技術というのは裏切らなくて、きちんと資格を取って、今、男性と同じような形で仕事をいただけるというのは、今まで頑張って技術を身につけてきたことが生かされているのかなと思っています。男性女性に関わらず、未来のある素晴らしい仕事だと思いますので、ぜひたくさんの方に入職、定着していただきたいと思います。
川畑:
秋山さんと同様に、私も1級技能士取って、手に職つけることができました。最近結婚して、もうすぐ出産をひかえていますが、この先、もし何かあったとしても、手に職をつけたので、安心して仕事をしていけるかなと思いました。
そして、技術職として、体力は劣るのですが、技術的には男の人にも負けたくないと思っていますし、年上の人でも「これなら私のほうが上手かな」ということもあります。幸いそういったことを会社のほうでもちゃんと理解してくれて、若いけれど職長をやらせてもらえています。そういう会社も世の中にはたくさんあると思うので、女性の人たちも怖がらずに建設業に入ってきてくれることを願っています。
〜自らの手で環境を変える努力も必要〜
工藤:
会社に入ったときから今だに、現場の技術職は私1人です。そのため、会社に「環境をよくして」と頼るのではなくて、自分の力で環境を良くしようと考えてきました。なので、「会社はなぜこうしてくれないんだ」とか、「国はなぜこうしてくれないんだ」と言うのではなくて、自分の力で少しでも良くすることはできると思っています。人に頼らずに、自分たちの力で建設業を変えて行きましょう。
瀬尾:
まずは、今仕事をしている私たちが、自分の仕事に誇りを持って働き続ける、生き生きと働き続けることが、まずは必要かなと思っています。女性には、いろんな選択肢があります。出産があるし、私のように離婚して子どもをシングルで育てていることなどいろいろあるのですが、その中で働き続けるということがやっぱり一番大事ですね。でも、そこに至るには女性は家庭のことがあります。私は残業できないけど同僚の男性は残業していることから、周りのみんなに迷惑かけることになるのではないかと申し訳なく思ったりします。そこは、なんとか周りに認めてもらうという自分自身の努力もすごく必要かと思います。でもどうしても駄目なときは、周りの人にお願いをするしかありません。私はこういうふうに働きたいので協力してくださいと周りに協力を求める。それが、あとに続く女性たちが仕事をやりやすい環境につながります。自分も頑張らなきゃいけないけど、周りに頼るということもすごく必要なことなんじゃないかなと思っています。
瀧口:
これから女性をどう活用していこうかとか、問題は女性を増やすことだと思ってらっしゃる方も来場されているでしょう。そういう経営層の方々に対しては、学生さんに向けてPRをしっかりしてほしいとお願いしたいですね。土木、建設業というと、男性のガテン系のイメージがあるのかもしれませんけども、もっと細かく丁寧に紐解いて、施工管理もあるよ、安全衛生管理もあるよ、こういった書類も作るんだよ、もしくはお客さんのところに行ってプランニングもするよとか、もっともっと自社の会社の仕事を細分化して、こういったことは女性もできます、男性もできます、高齢者だってできますといったメッセージを発信していただきたいです。自分の会社をもうちょっと細分化して、どういった働きがあるかというのを、ちゃんと明確化して発信していくことが、企業さんにとっては大切なのかなと思っています。
働く女性に向けたメッセージとしていえることは、今、国にしても、企業さんにしても、箱もの、女性に対するプランにものをすごく一生懸命取り組んでいますね。ただ、その箱ものに自分を合わせていくのであれば、それ以上の発想は出てきません。先輩から言われたことですが、お仕事もらっているお客さんに自分を合わせているようでは、そのお客さんの発想を超えることは絶対できないよと。それと同じ考え方で、どんどん自分たちから問題提起して、自分たちで変えていこうという意識を持たないと、何も変わっていかないんじゃないかなと思います。私個人も今日はここに座らせていただいて発信できましたので、こういった機会をもっともっと広げていっていきたいですね。
武山:
私自身は、40年以上も建設業にいまして、男性に負けたくないという一心でやってきました。建設業では、近年、ICT活用、週休二日などのいろいろな動きが見られます。そういう部分を会社側とまじめに検討していただいた女性が最終的には建設業でうまく働くことができると思いますので、おそれずに前に出ていただきたいなと思います。
籠田:
本当に皆さま、力強くて、愛あふれるメッセージをいただきまして、本当にありがとうございました。本日お越しの客席の皆さまも、明日からの仕事に向けて、新たな問題提起も持って、励んでいただけたらいいなと思いました。最後に、本日この地域座談会を主催してくださいました国土交通省、建設市場整備推進官の西畑知明さんに、講評をいただきたいと思います。
西畑:
パネラーの皆様、どうもありがとうございました。たぶん、今日のこの議論を普通の人が聞いたら、まさか建設業で働かれている女性の議論じゃないだろうと思われるのではないでしょうか。私自身も、建設業で実際に働かれている女性の方々の存在をすごく実感できました。このセミナーは全国10カ所で実施する予定です。各地で働かれている女性が集まるので、そういう方の体験や考えをまとめた事例集をうまくつくってPRに使っていきたいなと思っています。
セミナーの参加者について、われわれとしては、経営者の方が多いのかなという想定だったのですが、実際見てみますとかなり女性の方もいらっしゃいます。皆さん、女性が活躍されている企業から来ていただいているということですので、セミナー後の交流会にも残っていただいて皆さんのご意見をぜひお聞かせいただければと思います。本日はどうもありがとうございました。

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