建設産業女性活躍セミナー in さいたま

建設産業女性活躍セミナー in さいたま建設産業女性活躍セミナー in さいたま

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開催日時
平成29年10月17日(火)
14:00〜14:30 基調講演①
14:30〜14:45 基調講演②
14:45〜16:00 パネルディスカッション
16:00〜17:00 名刺交換・交流会
開催場所
埼玉建産連研修センター 2F
基調講演①
「建設業を女性の一生の仕事に~男女共創の幕開き」
有限会社ゼムケンサービス 代表取締役 籠田淳子氏
基調講演②
「最近の建設産業政策について」
国土交通省 土地・建設産業局建設市場整備課 建設市場整備推進官
西畑知明氏

パネルディスカッション

テーマ
「建設産業において、さらなる女性の入職及び定着を促進するためには」
概 要
○コーディネーター

籠田 淳子氏
有限会社ゼムケンサービス 代表取締役

○パネリスト

神山 明子氏
田部井建設株式会社
(一社)埼玉県建設業協会
熊野 康子氏
株式会社フジタ 担当課長
(一社)日本建築仕上学会 女性ネットワークの会
須田 久美子氏
鹿島建設株式会社 土木管理本部土木企画部
ダイバーシティ推進担当部長
(一社) 土木技術者女性の会
成田 晶子氏
高砂熱学工業株式会社 東京本店設計部
ファシリティ・ソリューション設計2課 主任
(一社) 建築設備技術者協会 設備女子会
根本 希美氏
大和ハウス工業株式会社
全国低層住宅労務安全協議会
西畑 知明氏
国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課
建設市場整備推進官
北埜 順氏
国土交通省 関東地方整備局 建政部
建設産業第一課長

 

パネルディスカッション

建設産業において、さらなる
女性の入職及び定着を促進するためには

 

籠田:
本日は、多くの女性に建設産業に入職いただき、楽しんでいただくための意見交換の場にしたいと思います。ではさっそくですが、パネラーの皆さんに自己紹介と現状どんな問題や課題があると考えられるか、お話しいただきたいと思います。

籠田 淳子氏 (有)ゼムケンサービス 代表取締役

籠田 淳子氏
(有)ゼムケンサービス 代表取締役

◆女性が活躍するうえで課題として感じていること〜自己紹介を兼ねて
神山:
私は、学校卒業後、住宅や商業施設等のCADオペレーターとして5年半従事し、建築士の資格を取得しました。その後、介護業界などのさまざまな業種を経験した後、2年半前より田部井建設(株)で、設計・施工管理の業務に携わっています。現在は子育て中ということもあり、会社の配慮により大規模な現場への配属は免れ、住宅の設計から施工までを担当しています。
弊社では、今年度土木事業部に女性技術者が1名入社し、来年度は建築事業部にも女性技術者1名の入社を予定しています。現場における課題は、男性と女性が共に同じ仕事をしていく中で、職場環境を向上させていくことだと考えております。今日は皆さんと一緒に、女性の活躍について考える中で、よいアイデアを見出せたらと思っています。

神山 明子氏 田部井建設株式会社 (一社)埼玉県建設業協会

神山 明子氏
田部井建設株式会社
(一社)埼玉県建設業協会

熊野:
ゼネコン業界で28年間仕事をしております。孫が今2歳です。
私が所属する日本建築仕上学会「女性ネットワークの会」は、2014年1月に設立され、同年5月には第1回目の講演会を開催しました。講演会は今年で4回を数え、毎回の入場者数は120人以上に上ります。
「会社を越えた女性のつながりを深めていこう」という主旨のもとに、現場見学会などのいろいろな催事を開催しています。昨年から、5月に東京ビックサイトで行なわれる「建築再生展」にて、女性の建築現場での活躍ぶりをPRしています。展示ブースでは、女性の作業着などいろいろなものを展示し、女性の方に試着もしてもらっています。
今年度の建築仕上学会の大会では、第2回「現場で働く女性のアンケート」の調査結果を報告します。例えば「仕事中に飲みたい飲料は何ですか」「現場でのメイクはどのぐらいまでやりますか」など、建築現場で働く女性に対して約32項目について調査したものです。男性は、女性は現場に出る時にはメイクなんかしていないと思っているようですが、実はほとんどの女性がメイクをしており、フルメイクをしているという人もだんだんと増えてきています。
年齢については、2017年と2015年を比較すると、40歳以上の割合がとても増えているのが、今回のアンケート結果の特徴です。
作業着については、2015年は男女で同じものを着用というケースが目立ちました。しかし、2017年は男女別に専用サイズのものを着用するケースが非常に増えており、また男女で別の作業着を着用するケースも増えています。一昔前は、作業着は男性サイズのみでしたので、長さが余り、袖を3回は折って着ている人もいましたが、今はほとんどの会社で女性専用サイズが採用されているようです。
「妊娠が判明したらどうするか」についても調査しました。2015年のアンケートでは、「妊娠中は他の部署に異動する」と考えている女性が多くいました。つまり現場で働いていても、妊娠したら、「積算などの内勤に変更する」という傾向がありました。それが2017年には、「育児休暇後、子どもの成長に合わせて現場に復帰したい」と考える女性が増えています。

熊野 康子氏 株式会社フジタ 担当課長 (一社)日本建築仕上学会 女性ネットワークの会

熊野 康子氏
株式会社フジタ 担当課長
(一社)日本建築仕上学会 女性ネットワークの会

須田:
私は土木技術者であり、東京3環状の現場である中央環状線の品川線、一番外側の圏央道の裏高尾橋工事、そしてこの5月までは東京外環の中央ジャンクション工事などの、主に橋梁とトンネル工事に携わってきました。
もともと、なぜゼネコンを希望したかというと、大学3年生のときに、社会人になったら現場には出られないだろうからと、大学の先生が気を利かせて現場でアルバイトをさせてくれたからです。そのときに「現場が天職だな」と勘違いして、ゼネコンを希望しました。
そうはいっても、現場は女性には時期尚早という時代でしたので、研究所で長い間過ごすことになり、その間に、結婚もして子どももできました。その後、設計部門に異動になり、それがきっかけで現場に出ることができるようになりました。現場で9年を過ごし、「ダイバーシティ推進」「働き方改革」を進めるため、6月に本社へ異動となりました。
私が所属する「土木技術者女性の会」は、すでに30数年の歴史があり、発足当時から5つの活動方針を明確にして活動を続け、現在は、次世代の育成に重点をおき、後輩へのアドバイスに力を入れております。『Civil Engineerへの扉』というロールモデル集の作成を手掛けるなど、平成26年度には内閣府の女性のチャレンジ賞を受賞しました。ロールモデル集は、「土木や建設に興味があるんだけど、どんなだろうか」という女子高校生や、人事部の方の「女性を初めて配属したが、指導方法が分からない」など、さまざまな声に役立っています。
また、女性が増えてきている一方で、いろんな事情で仕事が続けられないと悩む方も多いなか、鹿島建設(株)では、昨年からメンター制度を試行しています。現在、女性の技術系職員が70名ほどいますが、その中で10年未満の職員と先輩職員を、メンター・メンティーという組み合わせでカップリングし、継続就業や管理職への登用について一緒に解決策を考えていくことに取り組んでいます。国交省が中心となる取組としては、東京外環プロジェクト女性技術者の会があります。用賀、中央、東名の3ジャンクションで働く20数名の女性技術者が、横断的に活動することを進めています。
私は100年後には現場の技術者の半分は女性という世の中をつくっていきたいと思っています。今、女性の土木技術者は、現場に4パーセント未満しかいません。そのため、この状態を打破しながら、3割、5割の女性を定着させていく活動が、今後必要になっていくと思い、いろいろな活動を進めているところです。

須田 久美子氏 鹿島建設株式会社 土木管理本部土木企画部 ダイバーシティ推進担当部長 (一社)土木技術者女性の会

須田 久美子氏
鹿島建設株式会社 土木管理本部土木企画部
ダイバーシティ推進担当部長
(一社)土木技術者女性の会

成田:
私は平成18年4月に入社し、今年で12年目になります。入社と同時に上京し、そのまま5年間、現場配属となり、大きな建物2カ所の工事に携わりました。5年半が過ぎた頃に結婚し、「これからどうするか」という問題にぶつかりました。
当時は、女性総合職を10数年ぶりに採用するという頃で、身近な先輩に、結婚・出産というライフイベントを迎えた女性があまりいないこともあり、結婚相手は同じ会社の同期で、同じ施工管理の担当者でしたが、結局、その先の妊娠・出産を考え、内勤を選択しました。内勤では設計業務に携わりましたが、その後、2回の妊娠・出産で、産休・育休をとり、今年の5月からまたリニューアル設計に戻り、仕事を継続しています。主人も現場の人間ですので、理解はあるほうで、働くことに関しては何も言いませんが、しかし、帰りがとても遅くなるという業界の慣習があるため、女性に家事・育児が偏ってしまいます。急に熱が出た子供のお迎えなどは私が対応しなければならないことなどには、少し疑問を感じています。
現在、5歳と2歳の男の子がいます。弊社のようなサブコンにも最近、女性を現場に配属しようという動きがあり、それに感化されて、現場に戻りたい気持ちが強くなってきています。

成田 晶子氏 高砂熱学工業株式会社 東京本店設計部 ファシリティ・ソリューション設計2課 主任 (一社)建築設備技術者協会 設備女子会

成田 晶子氏
高砂熱学工業株式会社 東京本店設計部
ファシリティ・ソリューション設計2課 主任
(一社)建築設備技術者協会 設備女子会

根本:
私は平成23年に入社し、今年7年目になります。仕事内容は、集合住宅・アパート工事部門の現場監督です。結婚・出産・離婚を経験しており、現在、子どもを1人で育てながら、同時に幾つかの現場をかけもちで見る現場監督として働いています。職場には、今年の春まで、2人の女性の先輩がいましたが、1人は他のことにチャレンジするために辞め、もう1人は子どもの預け先がないということで、産休をとったまま辞めてしまいました。
建設業界で女性の活躍推進をはばんでいる問題は何かと考えたとき、私たち女性が業界の中で活躍していることを知らない女性が、学生にも多いのではないかということです。そのため、「女性が意外といるんだ」ということを大学生や高校生にもっとアピールして、「女性にも現場に立つ選択肢がある」ということを教えていくことが必要ではないかと思います。
また、せっかく入職しても定着しない原因として、残業や休日出勤が多いということが考えられます。そのうえに、家事に関する女性の分担が多いことも原因です。私たちの世代になると、「イクメン」という言葉が流行り、周囲を見渡しても家事に参加している人が増えています。ところが、イクメンに馴染みがない上司たちは、「男性が家事に参加し、子育てする」ことを理解しないものが多く、その結果として、男性と女性の家事分担が平等にならず、女性が働ける状況ではなくなっています。もし、上司にあたる年代の方たちに対して、「今はそういう時代じゃない。イクメンになりたい男性もたくさんいるんだよ」とアピールすることができれば、もう少し女性が仕事を続けられたり、同じ職種のまま仕事に復帰できたりするのではないかなと思います。
私の場合は1人で子どもを育てているという経緯もあり、一番困るのは子どもの預け先です。保育園に関しては、国の対応を感じていますが、小学生の低学年の預け先は少ないままにあると思います。このままでは、保育園の時代はなんとか乗り切れても、小学校に入学したときにいろいろと自分の身の振り方を考えていかなければいけません。

根本 希美氏 大和ハウス工業株式会社 全国低層住宅労務安全協議会

根本 希美氏
大和ハウス工業株式会社
全国低層住宅労務安全協議会

籠田:
パネラーの皆さんには、自己紹介と建設業にどっぷりと足を漬けている皆さんだからこそ気づいたことをお話しいただきました。あらためて感じるのは、日常生活において、いかに女性が男性に比べて日常生活の面倒を見ているかという現実です。負担の大きい日常生活を送りながら、女性がもっと建設産業に入ってこられるようにするためには、どうすればよいのでしょうか。ロールモデルがこの業界には少なすぎるという現状についてはどうでしょうか。
◆仕事を続けるために必要となる家族や職場の理解と協力
須田:
身近に女性の土木技術者がいない人はたくさんいます。また、男性の土木技術者の中にも、女性がこんなにいて、いろんな仕事をしているということに気付いていない人も多い。そのため、土木技術者女性の会では、いろんな仕事・いろんな年代・いろんなキャリアの女性会員をロールモデル集の中で紹介し、だれでもこれを利用できるようにと、いろんな機会にお配りする活動を行っています。どんな仕事をしているかという他に、働き続けるためのいろいろな方法を模索した人も紹介しています。
これを見た女子学生、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんに、「女性の仕事の選択肢として、こういう仕事もあるんだ」と気付いてもらえれば、土木や建設の仕事にも、女性がどんどん入ってきてくれるのではと思います。そんなことを期待しながら、増刷してお配りしているところです。
籠田:
長く続けて発信されてきた努力は、本当に素晴らしいと思います。なかでも、ご家族が「うちの娘や孫にいいね」と言ってくださることが重要という視点。女性の入職を増やすためのキーマンとなるお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんにまで届くことがすごく大事なのだと今、気が付きました。
それと同時に、女性が女性にリアルな話をしていくことが大事であることにも気がつきました。男性多数の建設業において、男性が感じていることを男性の言葉で伝えられても、女性はリアルに感じられません。そのため、女性の皆さんが若い女性に話をしていくこと、また、女性と女性がつながっていくことがすごく大事だと思います。男性にはなかなかわかりにくいことも、女性同士が話すことで解決したり、息抜きになったりするものです。
入職とともに働き続けてもらうことがとても大事なことですが、入職した女性の定着促進を阻む男女の格差を感じる割合が増えてきているということは気になるところです。
熊野:
「現場で働く女性のアンケート」では、「仕事で男女を感じますか」を問い掛け、「感じる」「感じない」の2つの選択肢を設けました。すると、2年前に比べて「感じる」という女性が約20パーセントも増えていたのです。例えば、女性にやさしい対応をされているという人が多いようです。年齢が上がって、仕事の内容は厳しくなり、ポジションもついてくると、女性の定着を促進するため、女性も男性と同じように登用する必要があると思います。ある意味では、男性にはその勇気が必要だと思います。
一方、子育て中の女性側も、「今、私は子どもがいるので」と言わないでほしい。まわりに子どもがいることはわかっていて、お願いしているわけですから、話が来たらまずは受けてみる。それで不都合がでてきたら相談すればいいと思います。そういうチャレンジ精神が重要だと思います。
建築業界には、シングルマザーで頑張っている人もいます。男性の方には、そういう女性たちに偏見を持たないでほしい。シングルであろうが、夫婦で働いていようが同等です。
そして、子育てをしていたら、女性は休まなければいけないときがあります。そのときに「なんだ、また休みか」と思わないで、男性にも休んでほしいと思います。そうすると、女性も休みやすくなります。そのような環境にどんどん変えていき、労働環境に男女差がなくなればよいと思います。次のアンケートはまた2年後を予定していますが、どのように認識が変わるか、すごく楽しみにしています。
籠田:
今回のセミナーのテーマは「男女共存の幕開き」としました。まさに今こそ、男女の格差が気になり始めた、変わり目のときに来たのかなと思います。ところで、一度は退職したがのちに建設業に戻り、今仕事を続けていらっしゃる神山さん、その秘訣を教えていただけますか。
神山:
秘訣と言えるかどうかは判りませんが、2人の子どもを育てる中で、親としてできることが、自分の好きな仕事をしている姿を子どもに見せることだと思ったことです。そうすることで子どもたちも、将来自分たちが同じようにやりたい仕事を見つけて頑張ってくれるのではないかと考えました。それで、私の好きな仕事は何かと考えたときに、建築やものづくりの仕事だと思い、自分が好きなことだから頑張れると思いました。
籠田:
好きこそものの上手なれということで、私も社員の人材育成で一番重要と考えていることです。建築好きの者しか採用していない理由は、好きなことは努力しますのでだんだん面白くなっていきますし、仕事が好きで面白いと思っているお母さんを子どもは応援し、ご主人も理解してくれるからです。そのように家族が理解してくれることが、定着するためにはとても重要なことではないかと思います。
先ほど保育所や小学校の話題が出ましたが、私自身もとても悩みました。小学校のときは月曜から金曜まで、絵画教室、スイミング、英語などの習い事へ行かせるために、ありとあらゆるものを活用しながら乗り切りました。今、女性にとっても建設産業は本当に魅力的な仕事になってきています。しかしながら、出産・子育てといったときの苦労や不安が、若い女性たちにとっては気になります。ぜひアドバイスをいただきたいです。
◆子育てと仕事の両立に向き合う
女性A:
私は、大学1年と高校2年の子どもがいます。私の時代は探し回っても保育所すらどこにもない状況で、駅前の無認可に24時間預けていたような状態でしたし、小学校にあがったときにも学童もなくて困りました。主人は同じ建設業ですが、のんびりと「なんとかなるんじゃない? 子どもたちだけで」という感じでした。それで、しばらくの間、ほったらかし状態だったのですが、やはりよくないと思い、近所の塾に入れたりしました。すると、塾で褒められた子どもは楽しくてしかたがなくなって、喜んで塾に通うようになり、お金が余計にかかる状態になってしまいました。それでちょっと困ってしまって、自分でやるしかないと思い、学校の横に学童を立ち上げました。教育学部の学生にボランティアで協力してもらい、今では立派な法人になっています。主人の「なんとかなるんじゃない?」という一言で、男性は何も考えていないなと思い、怒りから行動を起こすことができたという経験です。
籠田:
素晴らしい。会場には男性もたくさんいらっしゃいますが、「なんとかなるよ」ではないのです。私は同じようなママ友たちでとにかく助け合って、「今日はあなたで、明日はあなたね」といように連れ回して塾に行ったり、マイクロバスで回ってミニチュア学童のようなことをやっていました。
根本:
私は就職で埼玉に来たので、こちらにはあまり知り合いがいません。知り合いといえば、保育園のママ友と会社の人たちだけです。しかし、会社も地方出身者が多く、知り合いを伝っても、埼玉県内のネットワークがありません。また、私もいつまで埼玉にいるかわからないので、全国的に盛り上がってもらえるといいなと思います。
しかし、会社の中には、私を含め、子育てをしながら、現場復帰・職場復帰をしている女性が増えてきています。比較的大きな会社なので、人事部には「なんとか支店に託児所ぐらいつくってください」という話をしています。働く時間や出勤日に合わせた保育所、託児施設、学童も含めて、小学校低学年ぐらいまでの、どうしても親の手がかかる子どもを預かってくれるところをつくってほしいと思います。人事部含めて面談する機会が増えてきていますので、一生懸命伝えているところです。
須田:
弊社も待機児童問題に取り組んでいます。特に本社近くの女性が復帰したいときになかなかできないということで、事業所内保育所を立ち上げ、4月から開園することになりました。
女性A:
ひとつの会社だけでは女性もまだ少なく、経営上無理なこともあったりして、どうすることもできない場合があります。そのためにも、まずは国交省等が主体となって発注者側として全国に託児所をつくっていただけるとありがたい。「ご近所の建設会社の方もぜひ利用してください」という全国に利用可能な託児所があれば、場所を点々とすることがある技術者や技能者などの一定の保育所に預けることが難しい方々は助かると思います。子育てしながら場所が変わっても預けられるので、定着していくと思います。
籠田:
ぜひ国土交通省に期待したいですね。各業界団体による会員の入会促進を含めた、そのような取り組みも素晴らしいと思います。弊社では、社員の子どもの保育所から呼び出しがかかるとメーリングリストで伝わり、行ける者が迎えにいく仕組みを作っています。
地域の力や、企業そして業界の力を合わせることができれば、必ず女性は働き続けられると思います。家族の心配事をなくさないと、働き続けるのは難しいということが、今日のお話で多く出ました。
女性B:
私は入社2年目で、まだ現場には出ていませんが、本日、現場を経験されて長く働いていらっしゃる女性のお話が聞けて、大変勉強になりました。今後自分自身、どれだけ続けていけるかわかりませんが、ようやく弊社も今年から、女性が活躍できる制度を整える取り組みが始まりました。またいろいろなお話を聞かせていただければと思います。
女性C:
私は大学4年生で、主に女性の職人さんを増やすことを研究テーマとして、いろいろな方々にヒアリングなどを行っています。本日は、託児所や育児問題などについて、たくさんのお話を聞けてとても勉強になりました。
私が通う工業大学では、機械や電子などの様々な学部がある中、建築の女子学生は多いと思います。建築学部は、300人ぐらいの学生のうち3〜4割を女性が占めています。機械などは、100人中10人未満と少ない状況です。
籠田:
いろいろなお話がありましたが、一つは「家族の理解」というテーマがあがってきました。その中でも、理解してもらうための努力を現場で続けていこうとされている方は、並々ならぬ努力をされていらっしゃいます。そういった中で、社会や業界の努力がまだまだ足りないのではないかなということに、気付かされました。
同時に、家族とともに職場環境も重要です。現場の所長の意識が変わらないと、中間層や同僚もなかなか「そうだね」とわり切れない。やはりトップの意識が変わって、トップが決断することが重要です。心の中で思っているだけではなく、声にしてきちんと言っていただく。「こうやっていこう」と言葉にすることが、すごく重要なんだなと思いました。
もう一つは、私たちは男性に期待していることがあります。世界一になったなでしこジャパンの佐々木前監督は、女性を世界一にするための人材育成にはポイントが3つあるとおっしゃっていました。
1つ目は清潔であること。「きれい」というのがやはり重要とのことです。女性は毎日きれいにしていますから、男性にももちろんきれいにしていただきたいなと思います。
2つ目は面白いことです。怖いだけではなく、男性にも面白いことをぜひ言っていただきたいと思います。
そして3つ目は、選手一人一人の公私ともに把握していることだそうです。「今朝、誰と食事をしてどんな会話をして、どんな気持ちで練習に来ているのか」というところまで全部把握した上で、最高のコンディションをつくり上げていたそうです。私たちも同じようなことを現場で実践しなければいけないのではないかと思いました。女性も頑張りますので、男性の皆さんも頑張っていただきたいなと思います。
◆建設業で働く女性、将来を担う女性へのメッセージ
神山:
女性目線、細やかな気配り、柔らかい話し方、また、女性だからできる・気付けることもたくさんあります。私が担当する施工管理は、人を動かす仕事なので、女性でも活躍できる職業です。答えが必ずしもあるわけではないだけに、自分の中で着地点をしっかり保ち、相手を思いやりながら日々取り組んでいけば、やりがいのある仕事になります。頑張っていただきたいと思います。
熊野:
子どもが小さいときには「熱出しましたよ」と呼び出しがあったり、ちょうど受験を控えた中学3年生のときには、急に本社に転勤になったりもしました。私はそのときに、渡辺和子さんの『置かれた場所で咲きなさい』という本を思い出しました。仕事を辞めるか。いや、そうではなく、ここでまた一花咲かせよう、と。内勤になって人脈を広げることは、外勤に戻ったときに2倍3倍の強さになります。だから、皆さんにも今のうちにできることをたくさんやっていただきたいなと思います。子育て中で早く帰らないといけないから何もできない、ということはありません。できることに挑戦してほしいと思います。必ず誰かが見てくれています。
須田:
今から9年ぐらい前に、初めて現場の配属になりました。もうそのときは49歳で、現場に行っても「私は役に立つのだろうか」と考え、私自身、答えが見つからない状態でした。そんな中、毎朝「おはようございます」とご近所にあいさつしていたときに、「皆さんが体操するときに、わが家の窓に向かってするのが気になるのよ」というお話を近所の奥さんからいただきました。私はそれを聞いて共感し、所長にすぐ、「そういうふうに近所の奥さんが言っていましたよ」と伝えました。そして次の日から方向を90度変えて体操したら、その奥さんにものすごく感謝され、「あなたが来てくれて、本当によかった。今まで男性ばかりで、誰に言ったらいいか分からなかったんだけど、あなたが来てくれたので、なんでも相談できる」とおっしゃっていただきました。
そのときです、さまざまな制約条件のもとに地域の中で仕事をしていくのが建設の仕事ですから、男性と女性、両方いるのが当たり前だと、ストンと納得できました。これからは現場には男性・女性が半々の割合でいて、いろいろなものをつくっていくということで、地域の人にも受け入れてもらえたらいいのではないかと思います。近隣にはいろいろご迷惑をかけますので、そうすることで苦情が大きくならないうちに解決していけるのではないかと思います。ですから、女性も「自分が現場にいるのは迷惑では」なんてことは考えず、自信を持ってほしいと思います。女性の能力を発揮できる一番の場所ですから、働き続けてほしいと思います。さらに次の世代のために、働いたという実績を広く公開して、語り継いでいく、そのような活動に一緒に取り組んでいってほしいです。そういう仲間を増やしていきたいと思っております。
成田:
私は入社1年目のときに最初に配属された現場は、女性の現場監督を見たことがない職人さんが多かったようで、口もきいてくれない期間が長くありました。「女が来たら、話が通ると思うな」と言われたり、「女だから」と言われることも多くありました。しかし、私は女としての発言ではなく、現場監督として言っていることだからと、ぶれずにずっと話し掛けていました。すると、12月のあるときに、ころっとその職人さんの態度が変わったのです。
その理由を考えたとき、私の直属の上司に現場で怒られたことを思い出しました。上司も私が来たとき、女性が入ってきて、どう扱っていいか分からなかったようです。しかし、「女性だからって考えるのはやめよう」と思い直し、男性の部下と同じように、現場の職人さんの前で、私のことを怒ったのです。それを見ていた職人さんたちが、女性だからって遠慮することなく、言いたいことは男性と同じように言っていいんだという感覚を持ってくれたようです。この、上司の考え方一つで、やり方も周りも変わったという経験は、とても印象に残っています。
今は、2回目の産休が終わって、再び内勤に戻り設計業務をしています。部署には男性が多いのですが、ある方から「あなたが戻って、ガラッと雰囲気が変わりましたね」と言われたことがありました。何をしたわけではないのですが、女性にはおそらくそこにいるだけで雰囲気を変える力があるのだと思います。それを現場にも浸透させて、楽しい雰囲気の現場をいろいろなところにつくっていけたらと思います。そしてそれをもっとこれからの学生さんたちに発信していけたらいいなと思います。私が入社したのも、多くのOGを訪問して、実際に現場でいきいきと働いている女性を見たのがきっかけでした。ですから、いきいきと働いている女性を企業としても業界としてももっとアピールしていけたら、魅力が伝わると私は思っています。その活動を私も一緒にこれからもやっていけたらなと思っています。
根本:
入職したときは、こんなに女性の方が活躍しているというのを知りませんでした。住宅メーカー等で組織される全国低層住宅労務安全協議会では2年程前に「じゅうたく小町」という部会を発足させたことで、自社に限らず他社の方とも交流することができるようになりました。このような活動を通じてもっとたくさんの女性に「女性も活躍できるんだよ」ということを知ってもらいたいと思います。
また、子どもを育てながら現場に立つというモデルがなく、5年後の自分のビジョンなどが見えなくて、大きな不安を抱えていましたが、他の会社を見ることで、同じような悩みを抱えてる方がいるということがわかりました。今では、同じ悩みを抱える方たちとの情報交換の場はいろいろとあるので、周りの方と一緒に続けていくことができています。ぜひ、そういうものを活用しながら、若い女性の方にもどんどん入職してもらえたらと思います。私も含め、これから入職する女性も、一緒に活躍できるような建設現場になっていったらいいなと思います。
籠田:
本日は関東地方整備局から北埜さんにお越しいただいていますので、ぜひ感想や提言などございましたらお願いします。
北埜:
女性の社会進出、活躍の場の推進には、「男性の理解・家族の理解が必要だ」というフレーズが必ず出てきます。それを聞くたびに個人的には「そうだよね。僕はできている」と思っていたのですが、今日のパネラーの方々のお話を聞いて、相当反省しています。振り返ると、子どもに何かあったときは、必ず妻が対応していました。妻もパートで働いていたのですが、病気、塾の送り迎え、学校の行事など、普通に全部、妻任せでやってもらっていました。さらに、夫婦げんかになるときも、だいたいが「子どもの話は全部私なのね」ということが発端になっていたことを思い出しました。託児所や育児のお話を聞きながら、私もできていないなと反省し、「私はここにいていいのかな」とも思いました。
関東地方整備局でも、いろいろなメニューを立てて、現場見学会なども行ったりしています。しかし、実際に女性の方々がこれだけたくさん現場に出られて頑張っているという姿を、まだまだ伝えきれていないのだと思いました。業界にいると、日々目にするのは専門誌、業界紙ですが、そこで女性の活躍が取り上げられているのを見て、「最近は、女性活躍が当たり前になってきたな」と感じていましたが、実はとても小さな範囲での認識なのではないかと感じました。ですから、我々としても、例えば一般紙を使って、もっと全国的に女性の方々が活躍していることを打ち出せたらと思います。
引っ越し業界では、女性スタッフが台所、水回り、食器の梱包をしてくれるので、「非常に安心ですね」という打ち出し方をしており、それ見て「ああ、そうだよね」と思います。ゼネコンも最近はテレビCMにも力を入れていらっしゃいます。メディアを使って、ユニフォーム姿の女性が実際に現場で頑張っていますという姿を、全国的にもっと展開できたらいいのではないかなと思いました。
籠田:
素晴らしいです。ぜひ実現していただきたいと思います。パネラーの皆さまもお忙しいところ、お集まりいただきまして、大変力強く愛あふれるメッセージを本当にありがとうございました。会場にお越しの皆さまからも、貴重なご意見をいただきまして、私たち、一丸となって、自分自身、そして家族の幸せのために、未来を形づくっていかなければと思います。あらためて、建設産業の未来が、私たちが働きやすい業界であるよう、改革を進めていかなければと感じています。
それでは最後に本日の地域座談会を主催していただきました国土交通省の土地・建設産業局建設市場整備課の西畑建設市場整備推進官に一言、講評をお願いしたいと思います。
西畑:
本日はどうもありがとうございました。ご来場の皆さんがパネリストのご意見にうなづかれているのを拝見して、セミナーは以上で終了ですが、このまま女子会をすれば、せきを切ったようにいろんな意見が出てくるんだろうなと感じました。
ご指摘がありましたような、託児施設などの課題があるということもわかりました。これは女性の活躍推進という意味では、建設業界に限らずあらゆる業界に共通する課題であると思います。また、男性の認識も変えていかなければならないということを痛感しました。
今日この場で、皆さまにもいろいろと感じたことやお気付きがあったと思います。ぜひ今後も、このような場などを通じて共有していただき、建設業において、女性、そして男性の担い手もしっかり確保していければと思います。本日はお集まりいただきまして、ありがとうございました。

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