建設産業女性活躍セミナー in 新潟

建設産業女性活躍セミナー in 新潟建設産業女性活躍セミナー in 新潟

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開催日時
平成29年11月22日(水)
14:00〜14:30 基調講演①
14:30〜14:45 基調講演②
14:45〜16:00 パネルディスカッション
16:00〜17:00 名刺交換・交流会
開催場所
新潟ユニゾンプラザ
基調講演①
「建設業を女性の一生の仕事に〜男女共創の幕開き」
有限会社ゼムケンサービス 代表取締役 籠田淳子氏
基調講演②
「最近の建設産業政策について」
国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課 調整係長
中野 次郎氏

パネルディスカッション

テーマ
「建設産業において、さらなる女性の入職及び定着を促進するためには」
概 要
○コーディネーター

籠田 淳子氏
有限会社ゼムケンサービス 代表取締役

○パネリスト

青木 治子氏
株式会社日本ピーエス
中部支店 技術グループ 課長代理
(一社)土木技術者女性の会
岩澤 公子氏
菱機工業株式会社 新潟支店 設計企画課 係長
(一社)建築設備技術者協会 設備女子会
松内 利絵子氏
株式会社栄鵬建設
(一社)新潟県建設業協会 女性部会
柚木園 俊子氏
株式会社カネカ建設 総務部長
(一社)新潟県建設業協会 女性部会
中野 次郎氏
国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課
調整係長
木村 己与氏
国土交通省 北陸地方整備局 営繕部
官庁施設防災対策官

 

パネルディスカッション

建設産業において、さらなる
女性の入職及び定着を促進するためには

 

籠田:
全国10都市を巡る女性活躍セミナーも、この新潟会場で6回目になります。今回もご当地でご活躍されている素晴らしい女性技術者・技能者を中心に、建設業で働いている女性たちに集まっていただきました。ではさっそくお一人お一人の仕事について、そしてこの業界に対して「こうしたらいいのに」と、日頃からふつふつと思っていることをなんでもお話しください。ぶっちゃけたトークを楽しみにしています。よろしくお願いいたします。

籠田 淳子氏 (有)ゼムケンサービス 代表取締役

籠田 淳子氏
(有)ゼムケンサービス 代表取締役

◆女性が活躍するうえで課題として感じていること〜自己紹介を兼ねて

 

青木:
私が所属している(株)日本ピーエスは、本社が福井県敦賀市にございまして、北陸つながりがあるという理由から本日参加させていただきました。現在は勤務する名古屋市の中部支店で、設計部の課長代理をしています。
この業界に入ったきっかけですが、高校3年生当時、数学・物理が好きだったので、土木か、機械のどちらに進学するかで悩んでいました。どちらをとっても女性が少ない業界だったことには変わりありませんが、小学5年生まで一緒でした曾祖父がトンネルの技術者だったことから、土木がいいなということで土木に進みました。その後、施工会社に行きたくて、現在の会社に入社させていただきました。
福井県は、共働き世帯割合が全国1位として有名でありますが、(株)日本ピーエスでも、技術者に限らず、昔から女性が非常に活躍しております。
現在、20代から50代までの女性が、事務職・技術職まんべんなく正社員として在籍しております。また、幅広い年代を対象に働きやすい環境整備を進めていますので、出産・育児休暇を経て職場復帰する社員が増えています。これは、本社のある福井県内に限らず、私のいる中部地区の支店においても、出産・育児休暇や時短勤務等をとりながら、復帰している女性がいます。事務系にも、すごくいいロールモデルだと思える先輩がいて、助かっております。職種に関しても、弊社ではさまざまな部署に女性を配置しています。建設業界ではいろいろ課題が出ていますが、働きやすい環境整備については、女性に限らない問題として、会社としてもさまざまな取り組みを行っています。
次に、私を推薦してくれました(一社)土木技術者女性の会について紹介いたします。発足は1983年で、2013年に一般社団法人化しております。発足当初から5つの活動方針を挙げ、北海道、東日本、中部、西日本の4支部において活動を継続しております。会員数は、正会員、学生会員、サポーター併せて550名です。
最後に、2種類の本を紹介させていただきます。一つは、ドボジョのロールモデル集である『Civil Engineerへの扉』という冊子で、当会が編集・発行しているものです。さまざまな立場の女性が、仕事のことや家庭との両立について書いています。もう一冊は、土木学会が編集・出版しております『継続は力なり』であり、こちらも当会が編集協力をさせていただきました。このように、当会では、次世代の育成面でもお役に立てるように頑張っています。

青木 治子氏 株式会社日本ピーエス 中部支店 技術グループ 課長代理 (一社)土木技術者女性の会

青木 治子氏
株式会社日本ピーエス
中部支店 技術グループ 課長代理
(一社)土木技術者女性の会

岩澤:
私は、菱機工業(株)の設計企画課に所属しておりまして、リニューアル物件をメインに、省エネの推進などを目的とするリニューアル提案の営業を行っています。本日は建築設備技術者協会の設備女子会よりご推薦いただき、参加させていただくこととなりました。
設備女子会では働き方に関するアンケートを実施しております。仕事と家庭の両立や設備女子の働き方などについて、会員の皆さんが共通に思っていることについて調査し、その結果を冊子としてまとめておりますので、是非ご一読いただければと思います。
私は秋田県の出身で、私の父も大工をやっており、それをきっかけに建設業に興味を持つようになりました。石川県金沢市の大学を卒業して、金沢に本社を置いている菱機工業(株)に入社し、現在は新潟支店に勤めております。
弊社は社員360名ほどの会社ですが、このうち女性職員は約60名となっております。これは、女性の一般職と総合職合わせた数でして、総合職は10名です。ここ2、3年で、女性の総合職も増えてきている印象はありますが、この数字からも伺えるように、女性の社員数はまだ少ないというのが現状です。
建設業は男性社会であるというイメージが先行しており、なかなか仕事とプライベートが両立しにくい面があります。特に女性は、ライフイベントや生活の変化への対応が難しいので、このような活動を通して、建設業は女性にとっても魅力のある職業だということをもっとPRしたいと思っています。

岩澤 公子氏 菱機工業株式会社 新潟支店 設計企画課 係長 (一社)建築設備技術者協会 設備女子会

岩澤 公子氏
菱機工業株式会社
新潟支店 設計企画課 係長
(一社)建築設備技術者協会 設備女子会

松内:
私は、本年度から一緒に活動しております新潟県建設業協会の女性部会の推薦によりまして、本日参加させていただきました。私自身、高校までは建設業に入ろうと思っておらず、高校を卒業してまず違う業界の会社に就職しました。転職するときに、たまたま求人が出ていたのが、建設業の重機オペレーターであり、「給料がいいな」と安易な考えで入りました。しかし、よくよく考えてみると、父親と祖父が家業として建設業をやっていましたので、小さいときから重機や建設現場を身近に見ていたこともあり違和感はまったくなく、むしろ外で働くとか機械に乗るということにいいなという憧れがあって上越市の(株)栄鵬建設に入職しました。
重機オペレーターとして入職したのですが、結婚と出産を機に、現場に出るのは遠慮したほうがいいという会社の配慮もあり、一時事務所に入りました。その後、現場の経験もあるので主任技術者をしたらどうかというお話をいただき、現在は主任技術者をしています。
弊社は小さい会社ですが、社員の3分の1が女性です。ほとんどが事務方ですが、事務といっても現場の事務をメインとするもので、男性陣には現場で仕事をしていただき、残りの事務・書類作成などは全て、事務方のほうで請負っています。先日、ISOの審査に来られた方から、女性がすごく活躍していて素晴らしい会社だとお褒めいただきました。私自身も会社から、女性だからというのではなく、逆に女性として一生懸命、頑張ってくれてありがたいとお褒めの言葉をいただきました。社長の理解があり、いい会社に就職させていただいたと思っています。現在、新潟県建設業協会の女性部会の一員として、高校生、中学生、小学生などを対象に、現場見学会や学校に出向く出張PRを行っています。このような活動をきっかけに、女性が建設の現場にどんどん入って活躍してほしいなと思っています。本日は、いろいろ勉強したいと思っております。

松内 利絵子氏 株式会社栄鵬建設 (一社)新潟県建設業協会 女性部会

松内 利絵子氏
株式会社栄鵬建設
(一社)新潟県建設業協会 女性部会

柚木園:
私は22歳で東京から戻りまして、南魚沼市の(株)カネカ建設に入社しました。それから、専業主婦をしていた15年間は休職しておりましたが、平成20年に復帰して、現在は、総務部長として勤務しております。弊社には、女性社員として技術者が2名、事務職が3名在籍しております。
私は、新潟県建設業協会の女性部会の幹事をさせていただいておりますが、いろいろな事情により企業のトップがなかなか理解を示さないために、女性部会に参加できないという方を見てきました。
それだけに、やはり企業のトップの意識改革が大事だと思っています。籠田先生には、ぜひ企業のトップの方々を相手に講演してもらいたいと思いました。

柚木園 俊子氏 株式会社カネカ建設 総務部長 (一社)新潟県建設業協会 女性部会

柚木園 俊子氏
株式会社カネカ建設 総務部長
(一社)新潟県建設業協会 女性部会

籠田:
パネリストはこの4人の女性と、そして行政からご講演をたまわりました国土交通省の中野係長にも加わっていただいて、最後に総括をお願いしたいと思っております。
では、国土交通省北陸地方整備局の木村様に、北陸地域の建設産業における女性活躍について、ぜひお話をお聞きしたいと思います。
木村:
私どもは、国の機関として「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」の推進に向けて取り組んでおります。女性が現場で働くにあたって、その環境をどうしたらいいのかと検討するとき、トイレを男性と共同で使用することや汚い等使用することに抵抗があることが課題でもありました。その状況を変えるために民間の女性技術者にも参加していただいて、女性用のトイレや更衣室等のアメニティ施設について、どうあるべきか女性だけの検討会を開催しました。全国の各地方整備局で諸課題に取り組む中で、北陸地方整備局がアメニティ施設を検討するものとして、みんなでどういう環境だったらいいのか意見を出し合い、その結果、平成28年10月1日以降入札手続きを行う直轄工事において、「快適トイレ」として男女別のトイレを現場に据え付けるようになりました。当然のことですが、男性も同様に、まずはトイレを使い易くきれいにすることから現場環境を改善していこうと取り組みを進めています。
また、女性が現場で働いていることをなるべく多くの方に知っていただくために、新潟県にある湯沢砂防事務所では、砂防事業への理解を深めてもらうための事業紹介に併せて、「建設業で働く女性がかっこいい」と称して、現場で働く女性や女性職員を集めて行ったガールズトークをYouTube等で紹介している事例もあります。その他、建設業界へ入職していただきたく、OGの卒業生が人事担当と共に学校へ行き、後輩の女性たちに今どんな感じで働いているか意見交換会等を行っています。
私は80年代の採用で、その頃女性技官は皆無に等しかったのですが、90年代には徐々に採用が増え、今年度は採用者の約3割にあたる16名の女性技官が採用されています。公務員自体は昔から女性の採用では門戸も広かったと思いますし、女性技官は珍しい存在ではありましたが、女性採用において前向きであり、増え続けることはうれしいかぎりです。さらに今回は、民間の方々にこれだけ頑張っている人たちがいるのを見ますと、私もなおのことうれしいなと思いました。
籠田:
私も、男女雇用機会均等法の頃に仕事に就きましたので、おそらく木村さんと私は同じ年代ということが分かりました。今の18歳〜20代で社会に出ていく人たちを見ていると、私たちの時代と全く思考や文化が違うということを、最近すごく感じています。今では、高校も大学も、建築や土木に進む人たちが随分増えてまいりました。女性が受ける学部の中で、偏差値の高い理系学部を順番で並べると、医学部、薬学部、建築学部となっています。本当に優秀な女性たちが建設業にチャレンジしようとしています。その彼女たちが、実際仕事をするとなったらどうしようとしているのか。今は地元で就職しようとしている学生さんたちは本当に多いですね。昔は東京や大阪の大都市で就職をするという時代でしたけど、今の流行りは地元です。私たちが生まれ育った、そして両親がいる地元に対しての思いを持っています。その理由の一つは、災害を身近に感じて、地域を守るという思いで建設業に進むという女性も多くなってきたのではないかと思います。そういう若い人たち、女性も男性もですが、建設業にどういうイメージを持たれて、入職しようと思われているのか。いろいろ業界団体が既にさまざまな取り組みをしてくださっていますが、どのようなことをすると、より効果的な入職につなげることができそうなのか、ご意見をいただいていいですか。
◆建設業の真の魅力ややりがいを伝えることが大切
青木:
先ほど紹介しましたドボジョのロールモデル集である『Civil Engineerへの扉』には、土木の仕事の流れと関わり方についてのページがあります。この冊子は、大学に入学したての方、しかも女性に限らず男性が見ても非常に面白いつくりとなっています。ほとんどの方が、大学に入って4年間勉強した後に、どんなところに行けばどんな仕事ができるかをわかってないと思います。私自身も分かっていなかったのですが、例えば、この冊子の冒頭にある仕事の流れと職種の相関関係をまとめた一覧表を見ることで、「施工するのはこんなところ行けばいいんだな」「設計はこうだな」「公務員って何をしているのだろう」という明確なイメージが、学生時代の早い段階でわかってくると、大学4年間も非常に変わり、就職をしやすくなるという気はします。
籠田:
自分のキャリアプランが見えると、すごく前向きになります。今、ひょっとして孤独だったり苦しかったりするけれども、しかしこれを続けていったらこうなる、というものが見えるってすごくいいですね。設備女子会も、素晴らしいパンフレットを皆さんに配布してくださっていますので、一言お願いします。
岩澤:
設備女子会が作成した「設備女子の働き方に関するアンケート結果報告」には、仕事と家庭の両立や、両立に対する不安の理由などがまとめられています。この内容を見て、個人的に思ったことですが、建設業というのはすごく幅が広いということであり、私が所属している設備関係の会社や土木の会社など、細部にわたって本当にいろんな業種があるということを、学生さんがどのぐらい知っているかといったら、実際はほとんど知らないと思います。進路とか就職とかを考えるタイミングになったときに具体的なイメージができるように、もっとPR活動をしていきたいと考えています。これまでにも、就職活動の学生さんを案内したケースがあります。そのときは、実際に女性がいる現場に連れていき状況や様子を見ていただいたのですが、それが入職につながったというケースになりました。
なので、このようなセミナーの場に、学生さんに来てもらうとか、学校でセミナーを行うとか、きっかけはなんでもいいと思うんですけど、具体的なイメージがもっとできることによって、建設業にさらに興味を持ってもらえると感じています。
籠田:
私も就職活動している学生さんたちと出会うと、学生さんたちから「本当のことが知りたい」と言われます。いいことばかりではなくて、自分たちも本当にやるからには本物になりたいと、本当の話をぜひ聞かせてほしいと言われます。実際の具体的な話を、就職活動に来られる学生さんたちに、どのようにお伝えするのかという方法として、土木技術者女性の会や設備女子会などの団体が作成されている資料を活用することで、中小企業も「この業界はこうなんですよ」ということを分かりやすく伝えられるのかなと感じました。
そして、仕事ではいろんなことができることは素晴らしいのかもしれませんが、建設業の中では専門を持つこと、スペシャリストになるということもすごく大事かなと思います。設備女子の会等は、女性にもぴったりの仕事がたくさんあるということを、各地で発表してくださっています。土木技術者女性の会にしても、この道のプロになるということが、明るく見えてくるので、すごく入職に関してはいいと思います。そういうことから、ネガティブなイメージだけでとどまっているこの建設業界の本当の姿を知っていただくきっかけになると思っています。
今、入職者の数は少しずつ増えています。しかし、本当に難しいのは定着であり、続けていくことです。そういう中で、松内さんや柚木園さんのお話を聞くと、地元で頑張ってらっしゃるなと思います。私も大工の娘と言いましたが、今日のパネリストの皆さんは「○○」の娘だらけですね。偶然なんですけど、凄いなと思います。松内さんも基礎屋の娘で、普通に現場を見ていて、かっこいいなという印象を持って入ってこられました。しかしながら、この業界で続けていくのが難しいという現実があります。何か自分でこんな工夫をしたとか、業界はこう変わってほしい、ということはございませんでしょうか。
◆職場環境の改善には経営トップの意識改革と決断が不可欠
松内:
私自身の経験ですが、弊社の社長は女性が会社で働くということに対してすごく理解を持っておられる方でした。私も最初結婚して出産するときには、子どもの育児とかもあるので、一度は仕事をやめなければいけないと思っていました。ところが、会社は育児休暇を快く取らせてくれたり、子どもが具合悪いというときには病院に行かせてくれたり、ちょっと子どもが学校に行けない、でも見てもらえるところがないときは、「会社に連れて来て仕事をしていいよ」と言ってくれたりしました。やはり会社のトップの理解がすごく重要だなと思いました。トップの方の理解があるので、他の上司の方からもすごく良くしていただいております。現場で何かあったりしても、子どものことを第一に考えてくれて、何も言わずに「いいよ」と言っていただけるので、そういう点では恵まれていると思います。なので、ぜひ籠田さんにトップの方々を対象に講演していただけると本当にうれしく思います。
籠田:
それは何がなんでもやらないといけません。社員19人中、女性が6人ということですが、松内さんが重機のオペレーターとしてどんどんチャレンジしている姿は、これから続く若い女性たちに、すごく分かりやすい、希望が見える仕事と映るものだと思います。御社の社長さんも私と同じで、家族で普通に子どもを見るのと同じように、会社で子どものことも考えてやっていくよという考えだと思います。私からすると普通ですが、そういう会社がもっと増えていくといいなと思います。建設業にはすごいヒエラルキーがあり、元請、下請、孫請など、非常に縦社会です。私は親分・子分の世界だと言ったりしますが、現場でも所長がトップで、トップの言っていることできちんと現場が回っていくので、この命令系統は絶対に大事なことです。しかし、同時に大事なのは横のつながりだと、私は思います。建設業は、今あらゆる産業の中で高齢化率が最も高い、その意味では日本の中で先進的な産業でもあります。そしてまた若者が入ってこないという現状において、実はものすごく変わる機会を示唆されているのが、トップの意思決定です。業界はものすごくトップダウンな業界です。高齢化が進んだり、若者が入ってこないという状況が起きているという現状のなか、「そうか!」とトップが変われば、ものすごい業界革命が起きると、私は思っています。
柚木園さんは総務や人事、採用などを経験されていますが、ご自身の人生経験も踏まえて、いろんなことに気付かれていると思います。実際に御社での女性の活躍に対しての考えや、女性技術者・技能者の仕事ぶり等に関して、何かこのようなことが業界の常識になると、もっとよくなるのになということをお話いただけますか。
柚木園:
やはり職場の環境を整えるということがすごく大切だと思います。今うちにいる技術者は独身で、結婚もしておりませんので、今後結婚して育児、時短になったときに、周りの男性が認めてあげないとなかなか厳しいと感じます。「だから女は」みたいになりがちですが、そういうところは応援していかなきゃなと思っています。
籠田:
今は労働者不足で、外国人でも採用するぐらいだから、女でもなんでも欲しいと耳にするんですね。「女性は採用したい、でも採用したらしたで、今度はその女性とどう向き合っていいのか分からない」と言います。私の会社で以前あった事例としてよく聞くのは、「女にそんな時間とお金を使っても、女は結婚するまで」というような社会の考えです。どうですか、まだありますか。例えば、建設業では、さまざまな資格をとるために、特別教育やいろんな研修に行かないと、現場でチャレンジする自信もつかないと思います。そういう状況で、半日講習、1日講習、宿泊込みなどで行かせないといけない研修のときに、男と女のどっちを研修に行かせるか。このことを議論するなかで、「女に行かせてどうするんだ」というような言葉が社内で出てきているようでは、本当にできる女性、可能性のある才能を持っている女性が定着しづらいですよね。このような事例があるのではないかと思います。ここにいらっしゃる会社はそうではない会社がほとんどだと思いますが、ここに来られてない建設企業は、まだまだ不十分なところがあるのではないかと思います。
会場にも作業着で来られている若い女性もいらっしゃるので、感想や入職、採用について思うことがあれば、ぜひお話をお聞きしたいと思います。
女性A:
女性として悩んでいることや不安に思っていることが多かったんですけど、活躍されている皆さんの話を聞いて、チョッと頑張ってみようかなと思いました。家庭と仕事の両立とか上司との関係、また現場で働く上でのこうしたらいいな、改善したらいいなと思うようなところにヒントがあったと思います。
籠田:
家庭の両立は、女性には当たり前になっています。逆に言えば、子どもがいるのに、そんなに遅くまで働いて大丈夫?とか言われることもあります。男性にも同じ言葉を浴びせたいくらいなのに、子どもがいる母親が働いていたら、何か悪いことをしているかのように見られたりすることがあります。もっと言うならば、女性が持っている体調のこともあります。月に1回生理がありますし、女性ホルモンや妊娠や出産などのさまざまな体調の変化は、本当にどうしようもなく、男性には非常に分かりづらいこともある。なので、同じ女性でも、そのときの体調というのは月によっても全く違う。そういう多様性のある女性に対して、会社ができることは、一辺倒であってはいけないということです。「女性だからこう」と物事を決めてしまうのはいけないということは、このようなセミナーに参加する女性の皆さんと対話をする中でよく出てくる話です。
今回、私はこんなにたくさんの女性が活躍されているんだと思って、すごく感動しました。各開催地ではこのようなパネリストが必ず4、5人いらっしゃいます。全国10カ所ですので、50人以上の方が登壇されるという機会を、今回得ています。会場にも活躍されている方がいらっしゃって、結構女性がいらっしゃるなということにすごく勇気付けられました。
女性B:
私も土木系の会社なんですが、土木建設業の娘です。本当に小さいときから、父親が会社をやっているのを見てきて、今は週休2日制が当たり前ですが、それこそ1カ月30日仕事しているとか、そのような時代で育ってきました。上の世代からすると、若い人たちはやっぱり休みがないと、建設業ばかりでなく他の企業にも気持ちが向かないようで、第一に休みなんだなというのを感じます。高校生や中学生に向けて出張PRに行きましても、実際そういうことを感じます。国交省の掲げる週休2日制が弊社のような中小企業にまで浸透することになるかというのは、これからの仮題だと思いました。
籠田:
先日、仙台で行った女性活躍セミナーでは、東北地方整備局が実施している段階的な入札制度についての紹介がありました。ワークライフバランスや女性活躍に関する施策を会社としてどのぐらいやっているかで一次審査を通し、実際に女性活躍を推進している会社を対象に第二次で入札制度を行うという選抜方式というものです。そのように実際に女性活躍推進をしている会社の入札案件は、週休2日にしていきましょう、工期の延長に関しても、打ち合わせをしましょうということが、実際に行われているとのことです。また、静岡県が「女性技術者登用型入札制度」という取り組みをされていて、取材に行きました。まだ数は少ないですけど、業界が徐々に変わってきているというのを、私自身感じています。日本の中では先駆けて導入されているいろんな施策があるとお聞きしています。

建設産業女性活躍セミナー in 新潟

 

木村:
北陸地方整備局では、担当技術者として女性技術者を配置した場合、評価するという試行工事を実施しています。これは、建設業の担い手確保・育成の観点で、女性技術者の工事経験の拡大や技術力の向上を目指すものです。
籠田:
せっかくですから、経営者の方からの質問やご意見ありませんか。
男性:
私が今日来たのは、女性は実はすごいと思ったからです。男性とは感性がまったく違うんですね。会議をやると、内容とか発想とかが全然違うんです。現在、弊社では、会議にはなるべく女性が入ってやっています。できれば男女同数の人数で会議をする。というのも、意見が全く違うからです。そのこともあり、女性の活躍に興味があって、本日は参加させていただきました。わが社では、下水道の設備があるところでは、原則水洗トイレを標準としています。今日のお話ですごいなと思ったのは、ワークライフバランスです。一時、家に帰ってもいいというのはびっくりですね。早速、我が社でもすぐ採用します。あと、籠田や松内さんのお話で、会社にお子さんを連れてくるというのもびっくりしました。どこに連れてきていますか?
籠田:
ご飯を食べるところで勉強しています。ただ、彼女の場合は事情があって、お子さんが一時期登校拒否になったんです。なかなか家に1人で置いていても、登校拒否が改善できない。私も一緒に面談をしながら、どうしたらいいかを話し合いました。そして、会社に出てこさせて、社員さんの隣の机を移動してもらって、隣で座って時間割どおり勉強させようと提案しました。私が校長先生だといって実行しましたら、学校のほうが楽しいからと1日で学校に行くようになりました。会社は厳しく校長先生がうるさいということで、1日で学校行くようになりました。
松内:
私の場合、仕事しているフロアには私だけしかいないので、空いてるパソコンを預けて、そこにいます。具合が悪いといっても、ちょっとしたさぼりのような、今日学校行きたくないみたいなときがたまにあります。しかし、そういうときに、預けるところもない。自宅は職場から15分のところなので帰れなくはないのですが、さすがに小学生1人では置いておけないので、社長に話したところ、「会社連れて来て、一緒にいればいいよ」と言ってもらいました。そんなにちょこちょこではないんですけど、何回かありました。
籠田:
そういう人のために、早速、会社に子どもを連れてくることを検討いただけるのは、素晴らしい。こうやって勉強されている男性経営者も数多くいらっしゃるんですね。われわれ建設産業は、暮らしを支える、暮らしの基盤をつくっているということは間違いないことですね。そこには男性が主役であり、同じように女性も主役であるということがあります。その建設産業に対して、提案していく、創造的な仕事をしていくに当たっては、男性ももちろんですけど、女性もすごくアイデアを持っています。男性半分、女性半分という会議というのは素晴らしいと思うんですけど、女性もどんどん意見を言っていくことです。現場も男性だけに指揮をとらせるのではなくて、女性や若い人たち、高齢者だって、「こんなふうにしたらもっと仕事は楽になる」、もしくは「こんなふうにしたら楽しいんじゃないか」、というような提案を、どんどんしてくれるようになったらいいなと、私自身思います。
最後に、これからの建設業に対してこうやってほしいとか、続く若い人、そして高齢者の人たちに対して今思っていることを一言ずつお願い致します。
◆建設業で働く女性、将来を担う女性へのメッセージ
青木:
男性にもいろんな人がいまして、弊社には離婚して1人で子育てをしているとか、子どもが自分の父親の言うことしか聞かないと言いながら現場に出ている男性もいます。そういうところも含めて、弊社はそれほど大きな会社ではないんですが、頑張っていきたいと考えています。私には子どもがいませんが、甥っ子にこんな仕事しているんだよって見せたいなと思うので、自信を持って見せられる職場や業界になっていったらいいなと思います。自分も努力していきたいです。
岩澤:
抽象的な話になりますが、建設業に入るきっかけというのは人それぞれあると思うし、どんなきっかけでもいいと思います。男性社会であるというイメージがあると話しましたが、やっぱり建設業って、ガテン系でかっこいいというイメージを持っていらっしゃる方もいると思うんですね。やはり、形に残るものをつくれるというのが、最大の魅力なのかなという思いがあるので、ものづくりに少しでも興味がある人は理系・文系は関係ないと思います。菱機工業(株)でも就活生を採る際は、あまりそういうところにはこだわりは持ってないです。少しでもものづくりに興味がある方とかがもっと増えればいいなと思います。また、建設業にはこんな魅力があるよということを、私も皆さんと一緒になってPRし、盛り上げていければと思います。
松内:
建設業は基本的に男性の多い職場と言われていますが、弊社には結構女性がいて、全然違和感がありません。しかし、現場に出てみると、他の会社を見ても男性がまだまだ多いのが現状です。ですので、これから女性が普通にどこの現場に行っても、当たり前にいるような業界にできたらと思います。そのためにも新潟県建設業協会の女性部会の中で、子どもたちに「建設業いいな」というふうに言ってもらえるような、憧れを持ってもらえるような業界にしていくように、活動していけたらいいなと思います。
柚木園:
上司の方々には、女性の面談を年に3回ぐらい行ってもらえると一番いいのかなと思いました。あと女性が少ないので交流の場を多く設けて、悩み事などを解決できるような場があるといいのかなと思いました。あとは、管理職も、女性をどんどん起用していっていただけるといいなと思いました。
木村:
私が思うのは、建設業にこそ女性に入ってほしいということです。川であれ、道路であれ、家であれ、人が使うものを造るのに男性だけの視点でいいわけがない。ぜひ女性に関わってほしい。今日、パネリストのほかに現場で働いている方々やこれから建設業界への入職を考えている若手がこれだけ多数集まって議論されたように、女性の意識も変わってきています。女性が働くための環境がまだまだ十分ではないと思いますが、そこは国土交通省としても、女性が長く働き続けられるような環境づくりを支援し、それがさらに日本全体に広がっていくような仕組づくりを進めていければいいのかなと思います。
中野:
本日は皆さん、大変活発なご意見いただきまして、ありがとうございます。今、我々としましても、「女性の活躍」をキーワードに取り組んでいますけれども、女性が活躍できる環境というのは、若い男性にも「ここだったらいいな」と思える環境とほぼイコールだと考えています。
国土交通省では、現状の10万人の女性をなんとか2倍にしようという目標を掲げております。ただし、全体の技能労働者数でいうと、10万人の増加というのは、残念ながらそれほど大きな解答になるわけではありません。しかし、10万人の女性が建設業をいいと思って新しく入ってくるということは、日本の産業の中で建設業の魅力がよりアップすることとイコールなのであり、担い手確保の問題に対して建設業界として全力でなんとかしていくことのあらわれだと思っていますので、引き続き頑張っていきます。
2点お願いがあります。まずは経営者の皆さんにお願いです。経営者の方にもフットワークが軽い方もおりますが、全ての経営者のフットワークが軽いかというと、なかなか難しいところもあると思っております。どうしても国ができることは限られておりまして、後押しはぜひ力強くしていきたいとは思うのですけど、結局は経営者の方々の皆さんに実際に動いていただかないと、何も変わらないということは事実でございます。担い手確保というのは、中長期的に見て大変な課題でありますので、ひとつ女性というキーワードを含めて、取り組んでいただけるとありがたいなと思っております。
そして、本日来ていただいている女性の方々にお願いです。今日は若い方が多いようですが、若い方にはぜひ仲間を1人でも増やして、会社を超えた横のつながりを増やして欲しいと思います。例えば、建設業協会が主催するイベント等に積極的に参加していただきたいと思います。そして「こんな風に頑張っている方がいるんだな」と、ささいなところから1人ずつ仲間を増やして、最終的には10年後などに、後輩の女性の方々に対するロールモデルになっていただくような循環を少しずつ、つくってくださるといいなと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

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