建設産業女性活躍セミナー in 沖縄

建設産業女性活躍セミナー in 沖縄建設産業女性活躍セミナー in 沖縄

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開催日時
平成29年12月5日(水)
14:00〜14:30 基調講演①
14:30〜14:45 基調講演②
14:45〜16:00 パネルディスカッション
16:00〜17:00 名刺交換・交流会
開催場所
沖縄建設労働者研修福祉センター
基調講演①
「建設業を女性の一生の仕事に~男女共創の幕開き」
有限会社ゼムケンサービス 代表取締役 籠田淳子氏
基調講演②
「最近の建設産業政策について」
国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課 政策係長
鈴木 悠紀氏

パネルディスカッション

テーマ
「建設産業において、さらなる女性の入職及び定着を促進するためには」
概 要
○コーディネーター

籠田 淳子氏
有限会社ゼムケンサービス 代表取締役

○パネリスト

伊芸 南氏
株式会社屋部土建
(一社)沖縄県建設業協会
上原 惠子氏
株式会社丸政工務店 代表取締役
(一社)沖縄県建設業協会
當間 ありさ氏
有限会社牧野建設
(一社)全国中小建設業協会
西岡 真帆氏
清水建設株式会社 人事部ダイバーシティ推進室長
(一社)日本建設業連合会
松浦 葵氏
株式会社日本ピーエス 九州支店
(一社)土木技術者女性の会
鈴木 悠紀氏
国土交通省 土地・建設産業局 建設市場整備課
政策係長
宮城 かお里氏
沖縄総合事務局 国営沖縄記念公園事務所 工務課
工務係長

 

パネルディスカッション

建設産業において、さらなる
女性の入職及び定着を促進するためには

 

籠田:
本日は沖縄の麗しき女性技術者・技能者の方々に、こんなにたくさん集まっていただきました。5名のパネラーをはじめ、会場の皆さんからも、ぜひ色々なご意見をお聞きしたいと思っております。それでは皆さま、自己紹介や建設業界への問題提起など、ご自由にご発言下さい。よろしくお願いいたします。

籠田 淳子氏 (有)ゼムケンサービス 代表取締役

籠田 淳子氏
(有)ゼムケンサービス 代表取締役

◆女性が活躍するうえで課題として感じていること〜自己紹介を兼ねて

 

伊芸:
私は今、本部町のホテルの新築工事に携わっており、現場監督として働いております。この現場には新入社員が2名いますが、そのうち1名が女性です。(株)屋部土建全体では、現場で作業をしている女性が私を含めて4名おります。
今、女性の技術員や事務員の活躍を促進しようという動きが出てきていると思うのですが、私の現場でも去年、今年と連続して、女子中学生のインターンシップを受け入れました。彼女達は、中学生のうちから「将来、一級建築士や建設関係に関わる仕事をしたい」と言っており、建築に対して熱い思いを持っています。その子たちの「建築業に行きたい」という気持ちを、どうやって後押ししてあげられるのかということが私の課題です。女性の入ってきやすい環境を先輩方がつくってきたのと同様で、もっと作業しやすい環境をつくってあげられるように頑張ります。

伊芸 南氏 株式会社屋部土建 (一社)沖縄県建設業協会

伊芸 南氏
株式会社屋部土建
(一社)沖縄県建設業協会

上原:
私は建設業に携わって32年になりますので、パネラーの中では最年長だと思います。今日は技術者ではなく、経営者の立場として発言させていただきます。32年前の昭和61年4月に(株)丸政工務店を設立し、昭和63年に代表取締役になりました。夫である専務と二人三脚で、水道関連の小さな設備業をスタートしましたが、当初は工事が全然ありませんでした。しかし、地元で1,000円の工事から始めた企業は、32年たった現在、56名の大所帯になっています。本当に社員に助けられ、走ってきた32年だと思います。今日は、パネラーとして色々なお話できる機会を得たことを、とてもうれしく思います。
私自身、女性の活躍推進との関わりは古く、昭和60年に男女雇用機会均等法ができた頃から、地域のふれあい懇談会等で講演したこともありました。当時は本当に何も分からない状態のまま関わっておりましたので、中小企業家同友会などの活動を通じて勉強もしてきました。そのような経験についてもお話出来るかと思います。

上原 惠子氏 株式会社丸政工務店 代表取締役 (一社)沖縄県建設業協会

上原 惠子氏
株式会社丸政工務店 代表取締役
(一社)沖縄県建設業協会

當間:
私は普通高校を卒業後、(有)牧野建設に入社し、今年で3年目になります。現場経験年数は2年半です。現在は那覇空港滑走路の現場で、主に重機オペレーターとして施工にたずさわっています。私の周囲では、工事部、総務部などの各部署で女性の先輩方が働いています。業界の問題点を挙げるとすると、国が取り組んでいる女性専用設備の設置などは、とても働きやすいので私はいいと思っています。なので、県や民間の工事でも、どんどん取り組んでもらいたいです。特に、私は道路工事に主に携わっているために現場が移動するので、移動式トイレを設置してほしいと思います。

當間 ありさ氏 有限会社牧野建設 (一社)全国中小建設業協会

當間 ありさ氏
有限会社牧野建設
(一社)全国中小建設業協会

西岡:
私は、もともと土木系の学校を卒業し、清水建設(株)に土木系の技術者として入社しております。最初、都内の現場で現場監督をやった後に、シールド関連の技術開発をしました。その後コンクリートの専門部署で全国の現場の原料支援をしており、このキャリアが一番長かったです。生コン屋さんに行き色々なコンクリートを練ったり、海の上に配管を沿わせて、コンクリートを打って、「落としちゃいけない!」とドキドキするような生活をずっとしておりました。この大好きな沖縄でも、那覇空港近辺の沈埋トンネルの道路工事のお手伝いや、一番北側ですと、名護よりずっと北部の国頭村座津武で、トンネル工事のコンクリートを打ったりしています。
このようにキャリアを積んでいっているときに、弊社でも女性活躍推進を本格的に進めることになり、経営トップの方針で、技術系出身で女性の私が室長をやらせていただいています。会社から期待されているのは「現場の経験を生かし、弊社に入ってくる若い女性たちが働き続けられるようにしてほしい」ということです。そのために、私が若い頃に「おかしいな」と思ったことを、発想を転換して「会社が楽しいな」と思えるような制度を作ったり、環境を整えたりしております。
日本建設業連合会では、「けんせつ小町委員会」という委員会を3年前に立ち上げておりまして、私はそこで委員をしております。
皆さんは「けんせつ小町」という言葉を聞いたことがありますか。これは3年前の10月に、一般公募して決めた愛称です。「小町」とは建設業で働く全ての女性たちのことです。皆さん、是非使ってください。ロゴマークも作っています。花びらみたいに見えるのは、実は1枚1枚ヘルメットの形です。Quality(品質)、Cost(原価)、Delivery(工程、工期)、Safety(安全)、Environment(環境)の5つを指す言葉“QCDSE”ということなので、小ネタとしてこれも使ってみてください。
先ほど、「トイレが整ってきてうれしい」という話がありました。日建連の「けんせつ小町委員会」では、「初めて女性が来てどうしよう」と思っている経営者の方や、現場の所長や男性陣も困らないようにマニュアルを作っています。もしこの件で手探り状態にあるときは、日建連のホームページをのぞいてもらうと、誰でもダウンロードすることができます。チェックリストも作っていますので、「本当にこれで足りているのかな」「次に何をするべきか」という道しるべとしての使い方もできます。
また、「一般の方に現場を知ってほしい」「仮囲いの中を見て、建設業を好きになってほしい」「誤解を解きたい」という思いもあるので、夏休みを中心に小学生・保護者を対象にした見学会も全国で開催しています。これは、小学生のハートをつかむという目的もありますが、保護者の方たちの誤解を解くというものでもあります。女性の施工管理担当者が説明すると、「建設業には、女性も若い子もいっぱいいるのね」と、お母さんたちも安心するという効果があります。ぜひ見学会はお子さんだけではなく、保護者もターゲットにした方がいいと思います。
今は、何でも調べるときはインターネットという時代ですので、色々な情報を「けんせつ小町」の専用サイトに集約しております。まだまだ情報が足りない部分もございますが、全国で活躍している小町たちの話や表彰制度などの取り組みについても掲載しています。参考にして下さい。

西岡 真帆氏 清水建設株式会社 人事部ダイバーシティ推進室長 (一社)日本建設業連合会

西岡 真帆氏
清水建設株式会社
人事部ダイバーシティ推進室長
(一社)日本建設業連合会

松浦:
私は、琉球大学の大学院を卒業しまして(株)日本ピーエスに入社しました。主要事業であるプレストレスト・コンクリートによって、主に橋などを造っている会社です。現在は、浦添市の牧港高架橋の工事現場に従事しております。
この業界に入ったきっかけは、高校生のときには、特にやりたいことはありませんでしたが、父が自衛隊の土木課だったこともあり、勧められて土木コースに決めました。また小さい頃から沖縄に何度も連れてきてもらい、「学生時代を沖縄で過ごしたい」という軽い考えで琉球大学に進学しました。大学3年生のときに、構造物の耐力のシミュレーションの授業に感銘を受けたことからコンクリート系の研究室に入り、卒業研究では、宮古島に伊良部大橋が当時建設されていたこともあり、その解析を行いました。その後、宮古島に行く機会があった時のことですが、それまではパソコンの中で構造物を見ていたので、スケールのイメージは、ほとんどありませんでした。しかし、実際に走ってみると、人間が小さく見えるぐらい大きなことに感動し、ぜひ橋を造りたいと思い入社を決めました。
現在、弊社では20代から50代までの女性の正社員がたくさん働いております。従業員は全社で約350名おりますが、そのうち女性技術者は7名おります。弊社は働きやすい環境づくりに取り組んでおり、本社は福井県にあるのですが、県から女性活躍推進企業という認定を受けました。また、私自身も福井県知事から「グッドジョブ女性表彰」をいただいております。このように、会社としても女性をどんどん働きやすくしようとしている最中でもあります。
ただし、現場に出て働いている女性は、現在私1人しかいません。女性が現場に出ることに対して、当初は会社から許可がおりず、半年ぐらい色々な人にお願いして、やっと沖縄の現場に出ることができました。
建設業、特に土木工事というのは、スケールがものすごく大きいもので、しかも生活にとても密着しています。そういう点をもっと一般の方にアピールしたら、建設業にもっと女性が入ってくれると思います。
現在、私は土木技術者女性の会に所属しております。この会は1983年に発足しておりまして、全国に4つの支部があり、そこで活動を行っています。会員は550名ほどですが、大学生もたくさん参加しています。土木技術者女性の会では、会員の皆さんの仕事内容や仕事に就いた経緯をまとめたドボジョのロールモデル集『Civil Engineerへの扉』を発行しております。私自身も、建設業で、特に現場で働くことに不安がありました。しかし、この会ではたくさんの現場に出られて経験を積まれている多くの先輩方とお話することができるので、自分自身のキャリア形成にとても役立っていると思っています。

松浦 葵氏 株式会社日本ピーエス 九州支店 (一社)土木技術者女性の会

松浦 葵氏
株式会社日本ピーエス 九州支店
(一社)土木技術者女性の会

籠田:
ここでは、沖縄総合事務局 国営沖縄記念公園事務所で工務係長をされています宮城さんにお話しいただきます。沖縄での活動を、女性係長としての視点でお話ください。
宮城:
私は、沖縄総合事務局に入りまして、道路、ダム、公園などに18年間携わり、現在は、海洋博公園の工事発注や設計の担当をしております。
沖縄総合事務局では、平成28年度から「快適トイレ」の導入を進めています。道路の現場などでは、男女別のトイレは当然ですが、着替え台や擬音装置付きなどの色々な女性が使いやすい快適トイレの設置を進めています。しかし、工事の件数と比較しても、まだ快適トイレの導入件数はちょっと少なめなので、これから女性がどんどん入ってきやすい現場づくりを進めていきたいと思います。
◆カッコイイ仕事であり、感動を実感できる建設業の魅力をもっとアピールする
籠田:
建設産業は今、男性ばかりの業界から、女性が興味を持つ時代になりました。中学生・高校生の頃から、建築関連、建設、土木に進もうとする女子学生が増えています。つまり、そういう業界に就職しようという女性がどんどん増えているということです。
我々は、もっと建設産業を知ってもらいたい。色々な工夫を皆さんもすでにされていますが、これからもっとやりたいと思っています。ここにはまだ若い方々がいらっしゃいますので、ぜひ、建設産業に入職したきっかけをお聞きしたいと思います。當間さんはそもそもこの業界に何故入られたのですか。
當間:
言い方が悪いのかもしれませんが、学校に行きたくなくて、父にお願いして現場に連れて行ってもらったのがきっかけです。父が重機を扱っており、「私もできたら、かっこいいな」と思って建設業界に入りました。
籠田:
お父さんがかっこいいんですよね。私もそうでした。私も大工になりたいと思っていました。これは自然のなりゆきです。勉強したくないということはさておき、やはりかっこいい仕事をしたい気持ちは、男女関係なくあります。
松浦さんもお父さんのおすすめで土木の道に進んだとのことでした。今、若い人たちにもっと入職してもらうために、「こうしたほうがいい」というご提案はありますか。
松浦:
建設業は本当に魅力のある業界です。男性も女性もかっこいいと思います。しかし、男性社会というのが現実にあるため、「本当にやっていけるのか」という不安は自分にもありました。でも、やるからには一生の仕事にしていただきたいと思っていますので、たくさんいる女性の先輩方の経験などをもっとアピールし、女性でも活躍できる業界だということをたくさんの人に知ってもらうために活動しなければいけないと思います。
籠田:
私たちは、女性でも活躍できることを知っていますが、外側からは見えません。この業界は、なぜか分からないけれど、業界の中で囲われて見えないのです。本日のような活動は業界の中では発信されるものの、業界の外に対しての発信が少ないと思いませんか。もっと外に対して、建設業界は女性も男性もかっこいいのが魅力で、女性も働けるところであることを発信していくことが大切だと思います。
伊芸さんは、先ほど中学生のインターンシップがあるとおっしゃっていました。すごくうれしいことです。女子中学生が建設業に興味を持って来られているんですね。そもそも伊芸さんが建設業に入ろうと思ったきっかけは何ですか?
伊芸:
私が建設業に入ろうと思ったきっかけは、高校時代の、旧校舎が取り壊され、新校舎ができたという工事です。夏休みに解体を行い、夏休み終了後には旧校舎がなくなっていました。そして、年を越えてしばらくしてメッシュシートというグレーの囲いがとれた時、見たことないようなきれいな校舎に感動しました。そのことがきっかけで、建築に携わりたいと思いました。感動で、人間の人生は変わるのだと思います。
籠田:
先ほどから「かっこいい」や「感動」という言葉が出てきます。「3K」の「K」が違うんですね。中学生の人たちは、どんなことに興味を持っていらっしゃいますか?
伊芸:
「将来どうしたいの?」」と質問すると、「現場に出たい」と「設計をやりたい」という両方の声がありました。私も、最初は設計に興味がありました。二級建築士を取得するなど、資格の勉強をしてから現場に出ると、知識も違うのでプラスになります。「建築士の資格を持っているから設計に進まないといけない」わけではなく、「資格を持っているからこそ現場を知っていける」という側面もあります。「どちらの道に進む場合でも、とりあえず現場を見て、いいものを見つけてきてください」とインターンシップに参加の生徒には伝えています。業界の先輩として建設業の魅力を伝えることができるのは嬉しいです。
◆仕事を長く続けるためには、何よりスキルを磨くことが重要
籠田:
「現場」というキーワードが出てきています。中学生の皆さんにも、現場体験や現場を見せることが大切です。現場に行くと、普段は隠れて見えない地中などが見えたりします。それを見て、実際このようなものができるのだとイメージをさせるとワクワクします。ビフォーアフターに皆さんワクワクします。インターンシップの若い人たちに「真っ平な地面に、こんな建物ができる」という話をしていく必要性があります。その結果、伊芸さんのような方が生まれることになるんですね。
今、女性の入職者は本当に増えています。女性技術者・技能者は現場に10万人いると言われています。そして、国土交通省では10万人を20万人にしようという長期プランがあります。入職は増えていますが、やはり大事なのは定着です。入職しても、「思っていたのと違った」と感じてしまっては本当に困ります。定着に関してぜひ20年、30年ご活躍されている皆さまからご意見をいただきたいと思います。

建設産業女性活躍セミナー in 沖縄

 

西岡:
最初、現場に出たときは、私がほぼ初めての女性の現場監督でした。会社も私の取り扱いをどうすればいいかという問題もありましたし、職人さんも逃げちゃいました。しかし、前例がないからみんなが怖がっただけなのです。私は若さと好奇心で、いろいろなことに取り組みました。そういう姿勢を見せると、男女の関係なく育てていこうと思ってくれます。
ただ若い頃はそれでよくても、数年経つと若さだけでは通用しないと気付きます。やはり、スキルを磨くことをすごく意識しました。私はコンクリートの部署に入ってからは、コンクリートに関する資格を全部取りました。他の人にはできない技術を身につければ、男女関係なく、私だけしかできない仕事ができると思い、勉強はたくさんしました。ですので、本人ができる努力としては、やはりスキルを磨くことが何よりも重要だと思います。
籠田:
女性は結婚するまでしか会社にいないから、女性に時間とお金をかけて勉強させるよりも、男性にさせたほうがいいという会社がまだまだあります。しかし、男性も女性も「勉強したい」「成長したい」という気持ちは同じです。ぜひ女性にも勉強の機会をたくさんつくってほしいと思います。建設関連には、たくさんの資格があります。そして特別教育や色々な研修もあります。そのようなことに、どんどんチャレンジし、「やってみたい」と声を出し、経営者の方たちをびっくりさせ、喜ばせてあげてほしいと思います。経営者の視点で、若い女性に仕事を続けもらうために、どんな工夫をされていますか?
上原:
女性の人生には、結婚、出産、子育てなどさまざまな出来事があります。そこで弊社では、子育ての間は、出勤時間を少しずらすという配慮をしています。他の社員と足並みをそろえる出勤ではなく、学校や保育所に預ける時間を確保してから出勤してもらっています。そして子育てが終わったら、全員が足並みをそろえて出勤することにしています。また、子どもが熱を出した場合は、「社長、帰ります」と遠慮なく言ってもらって、私も「早く帰りなさい」と言います。会社側の意識が変わらないと、女性の定着率は上がらないと思います。ぜひ、会社側としても制度を見直していただきたいと思います。
籠田:
時代が激変する中、どんな経営者も経営革新が必要という時代が来ていると思います。そのときの答えのひとつに、今まで話したことがない女性に、経営革新のヒントがあると思います。ぜひ女性社員さんと面談してください。もちろん、若い男性や高齢者の男性とも面談をしながら経営革新をつくりあげていく必要性も感じています。
女性A:
ご講演、ありがとうございます。西岡さんに質問です。現場に出られていた際の疑問をもとに、今、積極的に社内改革をされているというお話でしたが、現場に出られていた頃に感じていたことを具体的に教えていただけますか。
西岡:
現場に出ていたときに本当におかしいと思ったことは「お得意先が打ち合わせをすると言ったら、時間に関係なく打ち合わせをする」ということです。現場の作業時間は、8時から17時なのに、お得意先が20時に電話をかけてきたら、そこで打ち合わせが始まります。そして、翌朝8時に資料を出せと言われたら出します。そのことが、まず時間の感覚がおかしいと感じました。あと、お得意先に言われたらなんでもやる気前のよさはもうビジネスじゃないと感じました。ようやく世の中も働き方改革という時代になってきたので、この問題に本気で手をつけられているところだと感じています。
また、「女性だから」という理由で、色々な場面で悔しい思いをしてきました。ただ最近は、LGBTという言葉も出てきて、男女だけの問題ではなくなってきているので、これからはそういう場面はなくなると思います。「女性だから」「外国人だから」という見た目や属性で区別することもおかしいと思っています。今、所属しているダイバーシティ推進室では、このようなことをなくすために、やりたいことやらせてもらっています。
女性A:
私は技術者ではありませんが、今、弊社では少しずつ女性技術者を増やしたいと思い、2年前から1名採用して、建築の現場に行かせています。その方からよく現場での状況を聞いていますが、現場でいまだにおかしいと感じられることは、まだまだ女性専用のトイレが少ないという現状です。たしかに共用のトイレはありますし、女性用を表すマークが付いているのに、女性がいない時には男性が普通に使っている場合もあります。この問題に関しては、まだまだこれからの課題だと思っています。
籠田:
女性専用トイレはきれいだから、男性も使うという話はよく聞きます。前回の名古屋会場の懇談会のときに、国土交通省に「女性用トイレは女性が掃除する、男性専用トイレは男性が掃除をする、と特記事項に書いてください」とおっしゃっている方もいました。まだまだ男性中心の現場だと感じています。
先ほど、西岡さんは、若い頃から「おかしい」と思ってきたことを、今、変えるために声を挙げているとおっしゃっていました。弊社の女性現場監督にも、本当にあり得ないことや理不尽なことがまだまだ現場で起きます。女性が事を起こし提案するのと、男性が同じ事をするのでは、全然状況が違います。そのことを本当に「悔しい!」と泣いています。でも彼女は私と一緒に「悔しい!」と泣きますが、また頑張ります。それは私や諸先輩たちが頑張ってきたこの道を、次につないでいきたいからです。「女性だから」と言わせたくないと頑張っています。時代は女性活躍と言われて久しいですが、みんなが一歩前に乗り出して「おかしい!」と声を出さないと、絶対にこの時代は続きません。それはもったいないことですので、ぜひお願いしたいと思います。他に男性の方で、「俺たちは女性活躍のためにこんなにやっているよ」という方はいますか?
男性:
本日は色々ことを勉強しに来ました。弊社では、役員以下、工事部、施工部、総務などで女性が活躍しております。先ほどからお話にあるトイレの件はかなり責められておりまして、ぜひ「外ではなくて社内にトイレが欲しい」と言われています。実は雨に濡れて、外にトイレに行っているというのが現実です。
先ほどから色々なお話を聞いて、私も勉強することが多々ありますが、弊社では、男性陣が若い女性のオペレーターに重機の乗り方等を教えています。彼女に一人前に早くなってほしいと、全社をあげて一生懸命取り組んでおります。建設業は若年者の入職がかなり減ってきていますので、女性に活躍してほしいと思っています。建設業は景気がよくなっていますので、オリンピックに向けて、女性もどんどんご活躍いただければと思い、日々頑張っているところです。女性がいましたら、ぜひうちの会社に紹介していただければと思います。各社頑張って、女性をどんどん前に出していったほうがいいと思います。男性は所詮弱いので、女性には勝てないと思っています。ぜひよろしくお願いします。
女性B:
私は、建設技術者を養成する団体で働いています。若いときから土木建築関係の現場に出ていた経験を生かして、今は建設業で働く方々向けに講座を設けるといった国家資格を取得するための支援を行っております。色々な現場に声を掛け、教材に使う写真も実際に撮らせていただき、それを使いながら経験が浅い人にもわかるように教えています。
昨年、国土交通省によって、施工管理技術検定の受検資格が改正されました。2級ですが、17歳から学歴や経験に関係なく、学科を受けられるようになりました。学科は一番基礎になる重要なことであるので、このような知識を教えることによって、「高校には行ったけれども先が分からない、どうしようかな」と悩んでいる人たちに、「こういう仕事もあるんだよ」と勧めています。色々な企業も、「若い人に資格を取らせる」という目標を立てるだけで、その人の定着力がすごくつくと思います。
ただ、色々な企業にお話を聞くと、戦力になる人を求め、若い子を育てていくことに二の足踏まれる企業が多いのも現実です。しかし学歴に関係なく、やる気があれば今から取れる資格はたくさんあります。宅建などのように、建設業に直接関係のない資格でも一つ取ると、それが実務経験のキャリアアップになっていきます。私たちは、このようなかたちで定着率の向上を支援する活動をしています。
今、建設業に技術者が足りないということで、人材を紹介して欲しいという会社が増えています。しかし、なかなかそう簡単ではありません。この会場には社長さんも結構いらっしゃいますので、是非お聞きしたいのは、若い方で実務経験などがなくても、やる気さえあれば採用していただけるのかどうかということです。例えば「高校には行ったけど、中退してしまった」とか「中卒で、土木科や建築科には行ってないけど、建設業をやりたい」という方がいたら、採用していただけるのかをお聞きしたいです。
籠田:
挙手していただいたことから判るように、今日の会場にいらっしゃる経営者全員が、「未経験でも採用して教えるよ」と考えているみたいですね。なお、弊社の採用条件は、「建築が好き」「学ぶことが好き」「続けることに信念を持つ」の三つしかございません。1級建築士は4人いますが、建築科を出ていない人がたくさんいるのです。
◆建設業で働く女性、将来を担う女性へのメッセージ
籠田:
最後にパネラーの方に、今後この業界に入られる若い人やこの業界に新しくチャレンジしたいと考えている方々に向けて、アドバイスやエールを送っていただきたいと思います。今回の感想でも構いません。よろしくお願いします。
伊芸:
今、私は現場監督という職人をまとめる仕事をしております。ですので、女性の職人さんを基準に意見を聞いて、どのように女性専用トイレをつくるのかということについて検討していきたいと思います。ただつくるだけではなく、位置関係も重要です。前の現場にいた女性の大工さんからは「女性専用トイレがあるのはいいけど、休憩所の目の前にあるのはちょっと恥ずかしい」という意見もありました。そのようなことは私にご相談いただいて、現場監督として、女性の職人さんだけではなく、色々な人が働きやすい現場の環境をつくっていきたいと思います。
上原:
弊社でも、経験だけではなく、やる気のある女性を毎年採用していますが、定着率が低いのが悩みとなっています。女性は現場で働くにあたって、本当に色々なリスクを負っています。ですので、逆に会社側も今の時代に合った考え方にリセットしてほしいと思います。女性が誇りと喜びを持って、楽しく人生・ライフワークを送り、夢を持って頑張ってもらいたいとエールを送ります。ぜひお待ちしております。
當間:
私は管理職だけでなく、施工する側の女性も増やしていきたいです。知識や経験がゼロでも興味とやる気があれば大丈夫だと思います。一緒に女性が活躍できる建設業界にしましょう。
西岡:
私も、本当に建設業が大好きで、魅力ある業界だと思っています。ただこの業界は「前例が」と言うのが得意なので、その「前例が」を取っ払って、女性にどんどんチャンスを与えてほしいと思います。だからと言って、女性を甘やかすことを、経営者の方たちは、絶対しないでください。女性をビジネスパーソンとして育ててあげると、業界全体が男女関係なく盛り上がっていくと思います。
松浦:
私は橋がつくりたいという思いから、今の会社に入社しました。まだまだ男性が多い業界ですが、本当に強い気持ちがあれば、自分がやりたいこともどんどんできますし、夢もどんどん達成できます。今は橋が完成に近づいており、「本当にこの仕事についてよかったな」と思うと同時に、やはり自分自身もスキルアップしていきたいという気持ちでいっぱいです。この現場が終わったら、次は熊本で現場代理人として働くのが決まっていますので、今度は自分自身も建設業界をもっと働きやすくできるように頑張っていきます。皆さんも一緒に頑張っていきましょう。
籠田:
「好きこそものの上手なれ」と弊社ではよく言います。やはり好きなら必ず上手になっていきます。ぜひ経営者の方々には、そのチャンスを女性の多くの皆さんに与えてほしいと思います。10万人の女性の技術者・技能者1人が、1人の女性技術者・技能者を育てたら、すぐに20万人になります。ぜひ20万人といわずに、40万人、80万人と女性が多く働ける業界をつくっていきたいと思います。
では、本日主催していただきました国土交通省 土地・建設産業局建設市場整備課政策係長でいらっしゃいます鈴木さんに総括をお願いいたします。
鈴木:
皆さまから非常に力強いお言葉をいただけて、私も非常に安心しております。紅一点ではなく黒一点で肩身が狭いのですが、まとめさせていただきます。
まず「入職」については、特に若い皆さんに現場や働く人の後ろ姿を見て、建設業界に興味を持ったという方が非常に多かったと思います。沖縄県には古宇利大橋のような有名な構造物や建築物がありますし、今後はこれらの維持修繕という、より縁の下の力持ちというようなものが大事になってくると思います。そういった建設業界の魅力や大事さを若い世代に伝えていけるように、国交省としても取り組んでいきます。
また「定着」については、「お給料がいいから」「休みが多いから」という入職理由も当然大事ですが、信念を持って「建設業界が好きだから」という理由で入職する方が増えれば、その後資格を取るなど、ステップアップやキャリアアップする方も増えていくと思います。そういった方がキャリアアップをしていく中で、それに見合う報酬が与えられるような仕組み作りも国として取り組んでいきたいと思います。
トイレのお話もありました。私も別の会場で「女性専用トイレのサニタリーボックスを撤去してほしい」というご意見を承りました。結局、男性が入ってくるとなると、サニタリーボックスがあると逆に不便だからということで、肩身が狭いという残念なお話もありました。20万人という数の目標も重要ですが、そういった細かいところのケアをしていき、量がどんどん質につながるような建設業界の女性活躍という形を目指していきたいと思います。皆さん、ぜひご協力をよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

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