造園工事 ぞうえんこうじ

一昔前には「植木屋さん」と呼ばれていた造園業の仕事ですが、樹木の管理(整姿・剪定、移植など)だけではなく、個人の庭づくり、公共事業の公園づくりに関連する、竹垣・飛石・レンガ施工に至るまで実に多岐にわたっています。1年を通じて“みどり”を創り、守り、育てています。

高村さやこ 入職3年目(2級造園技能士)

有限会社大沢造園(東京都目黒区)

植木から花、石の配置まで
総合プロデューサー的な役割を担っています。

土と格闘する高村さん。
体力的にキツイこともあるが、コツさえ覚えれば、見た目ほど大変ではないという。

個性を発揮しやすい仕事です!

建設業界のほかの業種と比べても、造園業は個性を発揮しやすい職種だと思います。自分がやった仕事の成果がすぐに確認できますし、継続的にその変化を追うこともできます。特に庭づくりに際しては、自分の裁量に委ねられることも多く、イマジネーションを膨らませて植木だけでなく石の配置も考えて、バシッと決まった時は最高の気分ですね。お客様にも喜んでもらえて、自分自身も満足が得られます。センスが問われるのでシビアな世界ですが、つくづく植木職人になって良かったと思います。

移植した松を保護するための幹巻作業。
シュロ縄の結束も景観の美しさを見せる。

同じ女性として頑張っている姿に共感

もともと大叔父が鎌倉で造園業を営んでいて、子供の頃、よく遊びに行っていました。庭には大きな木がたくさんあって、自然と遊びは木登りです。女の子ですけど木登りが大好きになって、古都鎌倉のお寺巡りも楽しみの一つでした。お寺の庭は手入れがしっかりしているし、気品があるし、美しさも別格で……。そんな幼少時代を送り、気が付いたら大叔父と同じ職業を選んでいました。

少し前なら女性職人の評価は低かったのですが、最近は、まったく違います。特に女性のお客様は、同じ女性として頑張っている姿に共感される方が多く、よく励ましの言葉をかけてもらえます。中には女性ならではの視点を望まれるお客様もいて、私を指名してくださると、本当にうれしいですね。頼りにされると、その期待に応えてあげたいと一層燃えるんです。

左/冬の風物詩でもある雪吊りだが、植木職人のセンスによって仕上がりの美しさは大きく左右される。
右/植木鋏や剪定鋏などの各種道具は、使い込むうちに手に馴染み、扱いやすくなる。
高村さんは、一昨年開催された「第29回全国都市緑化フェアTOKYO」にて
女性造園技能士による庭づくりの実演を披露した。

日々いろんな発見がある

この仕事をやってみたいと思っている若い人たちに対しては、“好きこそものの上手なれ”という言葉をアドバイスしたいですね。好きじゃないと続かないし、逆に、好きだったら長く続けられると思います。

造園業の仕事って、樹木の管理だけと思っている人は多いかもしれませんが、花壇づくりもあれば庭づくりもあるし、石屋さんと同じような仕事もある。いろんな分野にまたがって総合プロデューサーのような役割を担っています。だから飽きないし、日々いろんな発見があります。覚えることもけっこうありますが、覚えるほどに、仕事の幅も広がっていきます。それも大きな楽しみですね。

左と右/目黒区のお寺の庭園づくりに従事。大きな松の木の移植では、「多くのことを学ぶことができた」とのこと。
移植した松に雪吊りを行ったが、その数日後に大雪が東京を襲った。しかし、松の木は何事もなく、依頼主さんから大いに喜ばれたそうだ。そんなときはうれしさがこみ上げてくる。

取材協力:一般社団法人 日本造園組合連合会(http://www.jflc.or.jp/

関連する資格

造園工事に関して下記の資格があるので、就職したらスキルアップに応じてチャレンジしてください。

資格名 お問い合わせ先 ホームページ
1・2級造園施工管理技士 一般財団法人全国建設研修センター 
042-300-6866
https://www.jctc.jp/
1〜3級造園技能士 中央職業能力開発協会 
03-6758-2859
https://www.javada.or.jp/
樹木医 一般財団法人日本緑化センター 
03-6457-5215
http://www.jpgreen.or.jp/
庭園アドバイザー 一般社団法人日本造園組合連合会 
03-3293-7577
https://jflc.or.jp/
街路樹剪定士 一般社団法人日本造園建設業協会 
03-5684-0011
http://www.jalc.or.jp/
公園管理運営士 一般社団法人日本公園緑地協会 
03-5833-8551
https://www.posa.or.jp/
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