左官工事 さかんこうじ

建物の壁や床、土塀などを、コテを使って塗り仕上げる仕事です。主な仕事場は、マンションやビルなどの建設現場です。ペンキやタイルの下地塗り、コンクリートの土間打ち、階段の仕上げ塗りなど、さまざまな仕事があります。デコボコのコンクリートの壁を平らに滑らかに仕上げる、いわば現場のメイクアップアーティストです。

土肥明日香 入職5年目

株式会社マツウラ/富山県中新川郡立山町

「左官職人になりたい」という思いに
周囲のみんなが応援してくれた!

白壁を仕上げる仕事。コンマ数ミリを経験と感覚だけで仕上げていく職人技。

左官職人の仕事を見て「かっこいいなぁ」

もともと建設会社で働いていました。
ある建築現場で左官職人さんの仕事を見かけて「かっこいいなぁ」と単純に思ったんです。
特に理由があったわけではないのですが、左官の仕事は最後の仕上げになるので、自分がやった仕事が後々に残ります。そこが魅力だったんです。
それですぐに会社を教えてもらって、(株)マツウラの専務さんに直訴したんです。「左官職人になりたい」って。
会社としても女性の職人志望者は初めてのことで、職人の皆さんは戸惑ったみたいですよ。
それが今から5年前のことになります。

第45回全国左官技能競技大会に女性として初出場したときに使用した左官の道具一式。
道具は壁の種類や角度、形などの用途によって使い分ける。

親方や先輩から技術を受け継ぐ世界

左官職人にとって命の次に大事な道具がコテですが、最初はどれを買っていいのか分かりません。
先輩の職人さんにお聞きしたら、皆さんから「これ使ってみな」ってコテをプレゼントされて感激しました。基本的に皆さん優しいんです。
肝心の技術の習得については、親方や先輩から技術を受け継ぐのが当たり前、といった風潮があります。
基本的に“習うよりも慣れろ”の世界ですね。職人さんは無口の方が多く、雄弁に話すよりも「俺のやっている仕事を見て学べ、技術を盗め」といった雰囲気ですが、聞けばちゃんと教えてくれるから大丈夫です。
私の祖父の 年代の人もいて、知らない人から見たら、孫とおじいちゃんの組み合わせと思うかもしれません(笑い)。

モルタルによる造作

監督さんからOKが出るまでは気が休まらない

一番大変だと思うのが、季節や天気、気温・湿度などによって作業時間や仕事の後の養生など大きく変わってくること。
例えば冬場だと乾きが悪く、夏場は逆に早く乾きすぎる。乾くまでの時間も一定ではないし、なかなか仕上げが決まらずに泣きたくなることもありますよ。
まさに自分との闘いですね。でも、監督からOKが出て先輩に「いい出来だ!」と褒められると最高の気分です。

自分の技術がどのくらいなのか知りたくて第45回全国左官技能競技大会に女性として初めて出場したんです。3日間、朝から夕方まで課題を作り続けて体力的にも大変でしたが、審査員特別賞を受賞することができました。
女性でもそれなりにできるということを少しは証明できたかな。出場させてくれた会社に本当に感謝しています。

第45回全国左官技能競技大会
4m×4mの狭い持ち場、優勝常連組が両脇を固めるなかでの競技でした。競技競技中は技術や仕上りだけではなく、立ち振る舞いを優美にするため服も汚してはなりません。

左/花壇 右/住宅の玄関
建物の壁や床の下塗り、マンションや住宅などの玄関アプローチ。
駐車場、エクステリアなど建設産業には左官の仕事が多く、その後のペンキ塗り、タイル張りの仕上りも大きく左右する仕事です。
美しく仕上げるその技術の習得には5年、10年必要とし、業界では職人を「壁屋さん」と言っています。

取材協力:富山県左官事業協同組合

関連する資格

左官工事に関して下記の資格があるので、就職したらスキルアップに応じてチャレンジしてください。

資格名 お問い合わせ先 ホームページ
1~3級左官技能士 中央職業能力開発協会 
03-6758-2859
https://www.javada.or.jp/
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