とび・土工・
コンクリート工事
(とび)
建設工事の現場で、高所での作業を専門とするのが、とび(とび職)です。作業の種類などによって、足場とび、重量とび、鉄骨とびなどに分けられることもあります。中でも、足場とびは建築現場で必要な足場などを設置する仕事で、危険な高所を自由に動き回る事から、建築現場の職人の間で「現場の華」とも称されています。
小倉比呂 入職6年目
(株)鈴木組(東京都文京区)
高所で、しかも外気にさらされた場所での作業
でも、完成した姿を眺めるとそんな苦労も吹き飛びます。
みんなが思っているほど危険ではない
高所で、ほかの職人さんが作業するのに必要な足場などを設置する仕事です。周囲から「命がけの仕事だね」と言われることもありますが、みんなが思っているほど危険でもありません。作業する際は、必ず安全帯という、命綱付きのベルトをするのが規則。命綱としてのロープと、それを支持物に固定するためのフックなどから構成されており、移動するときも作業中も必ずどこかにフックをかけます。だから何かの拍子にバランスを崩しても落下を予防するようになっています。体力的にはキツイ仕事ですが、やっているうちに力もついてきます。
1年間みっちり学校で学び基本を修得
うちの会社には企業内職業訓練校(正式名称:鈴木職業訓練校)があり、新入社員は1年間、とびに必要な知識や技術を徹底的に学びます。道具や材料の名称を始め、とびの世界ならではのルールや常識、言い回しなど、覚えることは山ほどありますからね。でも、1年間みっちり勉強したお蔭で、初めての現場でもそれほど足手まといにならずに、何とかベテランの職人さんに交じって動くことができました。この訓練システムは、私のような素人にはいいと思いますよ。
最初は、とびの仕事がどんなものか知らずにこの世界に入ったんです。もともと大工志望で高校は建築科に進んで就職先を探しましたが、適当なところがなく、とびの募集を見て「同じ建設業界だし、まぁいいか」って。高いところから下界を見下ろすと気持ちいいし、実際にやってみると「意外と自分に合っているかな」と思います。
右/各種工具や手袋など、これらがとびに必須の道具たち。命を守る安全帯。道具ではないが、作業に欠かせないアイテム。
完成した姿を眺めると苦労も吹き飛ぶ
ほかの建設関係の仕事と同じかもしれませんが、やはり自分が携わった建築物が徐々に形になっていくのを見るのは気分がいいものです。高所で、しかも外気にさらされた場所での作業ですから、夏はめちゃめちゃ暑いし、冬は手がこごえてきますが、完成した姿を眺めるとそんな苦労も吹き飛びますね。誇らしいというか、何というか、感無量になるんです。
今とびの世界では高齢化が進み、若い人が求められています。ただし、現場では気が抜けないし、ヘマをするとベテランの職人さんから「やめちまえ!」と怒鳴られることもありますが、叱咤激励の表現が少し乱暴なだけ(笑い)。本当はみんな気がいいし、面倒見のある人が多いですよ。
竣工後の建築物を見ると、その現場で作業した思い出が脳裏に浮かび、少し誇らしい気分になるそうだ。
取材協力:一般社団法人 日本建設躯体工事業団体連合会(http://www.nihonkutai.or.jp/)
関連する資格
とび・土工・コンクリート工事(とび)に関して下記の資格があるので、就職したらスキルアップに応じてチャレンジしてください。
資格名 | お問い合わせ先 | ホームページ |
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1~3級とび技能士 | 中央職業能力開発協会 03-6758-2859 |
https://www.javada.or.jp/ |
足場の組み立て等作業主任 | 一般社団法人日本鳶工業連合会 03-3434-8805 |
https://nittobiren.or.jp/ |