大工工事(型枠大工) だいくこうじ(かたわくだいく)

鉄筋コンクリートの建物を建てる場合、型枠という器を組み立て、そこにコンクリートを流し込んでいく手順が必要になります。型枠大工とは、その枠をつくる職人のことです。コンクリートが固まったら型枠を外すまでが一連の流れです。一口に型枠といっても外壁、柱、梁(はり)、内壁、床用などがあり、建物の規模によって種類も異なります。型枠大工の熟練の技術は、鉄筋コンクリートの建造物の強度を支える重要な要素の一つとなっています。

眞砂裕己 入職6年目(型枠支保工の組立て等作業主任者)

三成建設株式会社(東京都武蔵野市)

完成した大きな建物を下から見上げると
心の底から「やり遂げたな」と感じますね。

愛用のハンマーを使ってコンパネと呼ばれるコンクリートパネルの位置を調整する眞砂さん。

型枠を取り外す作業は毎回緊張する

建物を安定させるために地盤に杭を打ち込む杭打ち作業が終わると、型枠大工の出番です。単純に現場で型枠を組み立てればいいというものでもなく、あらかじめ施工図面を見ながら柱、壁、梁などの形状、寸法、数量を計算して加工図を作成します。次に加工場で加工図に合わせて各パーツを作り、現場に運んで組み立てる。建物によって形状や寸法は全部異なるので毎回オーダーメイドのようなものですね。

型枠の中へ流し込んだコンクリートが固まったら、次は型枠を取り外す作業です。このときに思った通りの仕上がりになっているとうれしいですよ。何年やっていても毎回緊張する瞬間です。

豪快かつ繊細な仕事ぶりに憧れて

子どもの頃、父の職業は戸建住宅を作るような普通の大工だと思っていました。高校の時に父の勤務先でアルバイトをすることになって建築現場に行ったら、巨大なビルで、その規模の大きさに衝撃を受けたんです。大勢の職人さんや作業員の方々が働いていて、そこで初めて父の職業が型枠大工だと分って……。豪快かつ繊細な仕事ぶりに憧れて「父と同じ道を歩みたい」と思うようになったのです。

この仕事に就いて丸6年、今回の現場では職長という大役を任されました。職長とは、いわばチームリーダーのようなもの。型枠大工だけで10名という大所帯で、全員が私より年上ですが、先輩方のサポートを受けつつ頑張っています。

左/作業中は鉄のパイプを担ぐこともあるが、コツさえ掴めば、それほど重さも感じないそうだ。
右/型枠大工の仕事道具。ハンマー、ドリル、のこぎりなどが必須アイテム。
東池袋4丁目第2地区再開発

いつかは父を超える職人になりたい

この仕事のやりがいは、やはり達成感だと思います。私が携わった仕事の多くが地域のランドマークとなるような高層ビルや施設。一つの現場が竣工し、完成した立派な建物を下から見上げると、心の底から「やり遂げたな」と感じます。これはたぶん、普通のサラリーマンの人たちにはない感覚かもしれません。

体力的には大変なことが多い仕事ですが、続けていれば自然と体力もつくし、いろんな現場を体験できるので仕事がマンネリ化することはなく、毎日が充実しています。まだまだ覚えることも多いですが、いつかは父を超えたいし、日本を代表する型枠大工になるように日々努力したいですね。

左/大手町1-6計画
右/現在の現場 豊島区役所新庁舎とマンションなどが入る複合高層ビル(いずれも建築時の名称)

取材協力:一般社団法人 日本型枠工事業協会(http://www.nikkendaikyou.or.jp/

関連する資格

大工工事(型枠大工)に関して下記の資格があるので、就職したらスキルアップに応じてチャレンジしてください。

資格名 お問い合わせ先 ホームページ
1~3級型枠施工技能士 中央職業能力開発協会 
03-6758-2859
https://www.javada.or.jp/
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