大工工事(型枠大工) だいくこうじ(かたわくだいく)

鉄筋コンクリートの建物を建てる場合、型枠という器を組み立て、そこにコンクリートを流し込んでいく手順が必要になります。型枠大工とは、その枠をつくる職人のことです。コンクリートが固まったら型枠を外すまでが一連の流れです。一口に型枠といっても外壁、柱、梁(はり)、内壁、床用などがあり、建物の規模によって種類も異なります。型枠大工の熟練の技術は、鉄筋コンクリートの建造物の強度を支える重要な要素の一つとなっています。

鍛川 直之 入社20年目

株式会社星工務店/東京都目黒区

「技を盗む」向上心を

一度離れて知ったものづくりの達成感

型枠大工の仕事に就いて約20年が経ちます。これまでに一度だけ、「違う世界を見てみたい」という思いから、20歳頃に1~2年、この建設業から離れていた時期がありました。そのとき、ものをつくって出来上がった時の達成感を思い出しました。建設業のものづくりのおもしろさや楽しさが、他の仕事を経験してみて改めて分かったのです。墨田水族館や東京理科大学などのコンクリート打ち放しの建物は、型枠の仕事が出来上がっても見えるので、達成感が一層増します。

求心力のある職長を目指して

仕事をするには色々な資格が必要です。玉掛けや1級技能士、登録基幹技能者などの資格を取得し、現在は職長をやっています。また現場では色々な職種の職長で構成する職長会の副会長も務めています。いまは10代から50代まで、幅広い世代の職人11人を抱えて仕事をしていますが、人それぞれに立場がありますので、50代の職人を年下の職人の前では叱らないなど、常に気配りを心掛けています。仕事をする上では「絶対に怪我をするな」と厳しく言っています。自分だけではなく、家族や仲間、他職の人たちなど周りにも大きな迷惑をかけるからです。いまの目標は、どの職種の職長からも信頼される存在になることです。仕事が終わった後に、お酒を飲みながらコミュニケーションをとり、日常話さないことも見聞きする。コミュニケーションは非常に大切で、仕事がとてもやりやすくなります。

流れが分かれば、
仕事がおもしろくなる

いまの若い人を見ていると、職人の世界も変わりつつあると感じています。根性や忍耐が足りず、あきらめるのが早い人が多い。教えてもらえるのが当たり前だと思っている。「早く成長したい」「技を盗む」といった向上心を持っている人が少ないように思います。どの仕事でも初めはつらいことばかりです。この仕事もそうですが、図面が読め、現場の流れが分かるようになれば、格段におもしろくなります。辞めたいと言ってくる若者には、「早く一人前になれ。一人前になったら辞めていい」と言っています。やり切っていないのに逃げるのはよくない。一人前になったら、あとは自分の判断です。

教える側も苦悩の日々

この業界に入った頃は、毎日親方に怒鳴られていましたが、「早く一人前になって自立したい」「親方を見返したい」という思いでがんばってきました。散々怒鳴られたおかげで、いまの自分があると思っています。だから若手の教育では、嫌われても、あえて厳しくしています。ただ、正直なところ、厳しくし過ぎると辞めてしまうし、甘やかすとダメになってしまうので、私自身とまどう部分もあり、どうやってつぶさずに成長させていくかと悩むこともあります。仕事が終わった後に食事に連れて行くなど、若手のケアにも気を付けています。

現場を「見える化」して認知度向上

いまの建設現場には若手が少なくなっています。型枠大工の仕事が知られていない要因の一つには、仮囲いがあって中が見えないこともあるのではないかと思っています。例えば現場参観日のような企画を立ち上げ、建物ができるまでを見せることができれば、一般の人たちにも知ってもらえるようになり、認知度も向上するのではないでしょうか。今後、東京オリンピックもあり、仕事も増えてくると思いますので、多くの若い方が建設業に入ってきてくれればと願っています。

関連する資格

大工工事(型枠大工)に関して下記の資格があるので、就職したらスキルアップに応じてチャレンジしてください。

資格名 お問い合わせ先 ホームページ
1~3級型枠施工技能士 中央職業能力開発協会 
03-6758-2859
https://www.javada.or.jp/
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