塗装工事 とそうこうじ

建築物の内装や外装を塗装するのが、建築塗装工です。依頼主の要望や設計図をもとにして、それに沿った塗装を施していきます。戸建て住宅や会社、事務所、高層ビルの外壁など、あらゆるところに活躍の場があります。壁の材質や外装の状態などにより、使用する塗料や塗装方法も異なってくるため、熟練の経験と技がものを言う世界といえます。

沼田 亮 入職9年目(1級建築塗装技能士)

(株)ヌマタ(神奈川県葉山町)

熟練の塗装技術に加えて
繊細な神経と美的センスが必要です。

戸建住宅の新築工事現場で下地塗装を行う沼田さん。

改修工事が、塗装職人の腕の見せどころ

現場は戸建て住宅がほとんどです。新築工事と改修工事があり、塗装職人の腕の見せ所は、どちらかというと改修工事の方ですね。劣化してボロボロになっている壁の修繕を依頼されることが多く、塗装の前後では見違えるようになります。お客様に「新築に戻ったみたい!」と喜ばれることもあって、そんな時は職人冥利に尽きます。逆に大変だと感じるのは、部分補修の際に元の壁との色合わせに苦労する時。補修した部分が見分けられないような完璧な仕上がりを目指しています。

街の景観の美化に貢献している仕事

父親が塗装の会社を経営していて、親孝行だと思って家業を継ぎました(笑)。もともとバイクの塗装も自分でやっていたので、その延長といった感じですね。やってみたら意外と自分に合っていたかもしれません。塗装ってペンキを塗るだけの単純な仕事と思っていたら大間違い。道具も刷毛(はけ)、ローラー、スプレーと、塗装する対象物とその状態によって異なりますし、ペンキの調合も微妙に変えなければなりません。技術に加えて繊細な神経と美的センスが必要です。

やりがいを感じるのは、住宅の外壁を塗っている時かな。きれいに仕上がっていく壁を眺めながら、「街の景観の美化に貢献している仕事」だなって。モノをきれいに仕上げていくのは気持ちいいですよ。小さい頃から絵を描くのが好きだったので、絵とか美術が好きな人なら向いているかもしれません。

左/沼田さんの道具一式。大小さまざまな刷毛は、塗装する対象やその状況に応じて使い分けるという。
右/繊細かつ微妙なニュアンスも刷毛の使い方によって自由自在に操る。
昨秋の第23回全国建築塗装技能競技大会でのトロフィー

昨秋、全国建築塗装技能競技大会で優勝!

国家資格である1級建築塗装技能士を取得したのは2年前です。その頃から塗装工事の責任者を任されるようになって、現場責任者は施主(クライアント)と打ち合わせを行い、塗装プランを作り、塗装作業全般の工程を管理するなどの業務も加わります。資格を持ったことで責任感もより強まったような気がします。

これまで外部の職人さんと腕を競う機会はなかったのですが、昨秋に第23回全国建築塗装技能競技大会に出場するチャンスを得ました。2年に1度の大会で、今回は四国の愛媛県松山市で開催。私は東京・神奈川ブロックの代表として初出場し、腕自慢の職人さん47人中で、なんと優勝できたんです。結局、内閣総理大臣賞・国土交通大臣賞・厚生労働大臣賞の3賞も受賞……。自分がやってきたことが間違っていなかったということでしょうか。大きな自信になりましたが、これらの賞に負けないように、これからも一層精進したいと思います。

左/リニューアル工事の実施例 右/沼田さんが外装を手掛けた新築物件
ボロボロに塗装がはげ落ちた外壁の修復工事を任されることもあり、そんなときは「やってやるぜ!」と腕が鳴るそうだ。

取材協力:一般社団法人 日本塗装工業会(http://www.nittoso.or.jp/

関連する資格

塗装工事に関して下記の資格があるので、就職したらスキルアップに応じてチャレンジしてください。

資格名 お問い合わせ先 ホームページ
1・2級塗装技能士 中央職業能力開発協会 
03-6758-2859
https://www.javada.or.jp/
有機溶剤作業主任者 労働安全衛生管理協会 
048-885-7773
https://www.roudouanzen.com/
乙種危険物取扱者 一般財団法人消防試験研究センター 
03-3597-0220
http://www.shoubo-shiken.or.jp/
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